村田機械のインド事業/売上高140億円で過去最高/自動ワインダー好調

2011年05月10日 (火曜日)

 村田機械のインド事業が好調だ。2010年度は主力の自動ワインダー販売が好調に推移し、売上高は140億円と過去最高の数字となった。インドでは輸出だけでなくおう盛な内需を背景に紡織企業の設備投資が続いており、同社では「インドは引き続き最重要市場の一つと位置づけ、販売拡大を進める」(繊維機械事業部の山口俊宏営業部長)方針だ。

 同社は現在、インドで自動ワインダーと特殊渦流精紡機「ボルテックス」を販売している。とくに主力は自動ワインダー。主力機種「No.21C」は世界的なヒット機種だが、インドでも生産性や省エネルギー性、コストパフォーマンスの面で評価が高く、10年度(10年4月~11年3月)の販売実績は4万錘(約1000台)に達した。インドでは慢性的なワーカー不足が続いていることから、とくに完全自動システム「リンクコーナー」の販売が増加しており、台数ベースで60~70%がリンクコーナーとなっている。

 好調な自動ワインダー販売を背景に、10年度インド事業の売上高は140億円と過去最高の数字となった。リーマン・ショック後の09年度は50億円まで減少したインドでの売上高だが、08年度実績120億円を超えたことで完全にリーマン・ショックから回復した形だ。シェアの面でも10年度は50%を超えたと見られ、これまでインド市場を主導してきた競合メーカー、エリコン・シュラホーストを上回った模様だ。

 同社では引き続きインドを最重要市場の一つと位置づける。現在、インドの紡績設備は4000万錘弱と言われるが、おう盛な内需を背景に6000万錘まで拡大することが予想されることから、引き続き自動ワインダーの需要拡大が見込める。また、政府も設備投資を支援しており、TUF(テクノロジー・アップグレード・ファンド)制度(設備投資のための借入金に対して、一部金利をTUFが助成する制度)が今年5月に再開された。期限は来年3月までのため、今期は駆け込み需要も期待できるという。

 自動ワインダーだけでなくボルテックスの販売にも力を入れる。これまでの販売累計は8万錘となった。現在はポリエステル・綿混やポリエステル・レーヨン混紡績用途が中心だが、今後は抗ピリング性やウオッシャビリティー性などを訴求することでリング精紡機の用途を攻める考え。高速生産性やコストパフォーマンスの高さもワーカー不足に悩むインド市場では強みになると見ている。