テクテキスタイル2011/新商品で顧客開拓

2011年05月26日 (木曜日)

 世界最大の産業用繊維・不織布専門見本市「テクテキスタイル2011」が24日、ドイツ・フランクフルト市で開幕した。会期は26日まで。今回展はリーマン・ショック後であった前回展(09年)を上回る日系企業が出展し、欧州はじめ世界市場の産業資材・不織布の開拓に意欲を見せたが、その手法は、さまざまである。(フランクフルト=西田貴夫)

常連出展者は商談中心

 日系企業では旭化成せんい、クラレ、帝人、東レなどの合繊メーカー常連組に加えて、小松精練と重布加工大手の平岡織染(東京都台東区)が初出展した。ファッション衣料用の欧州輸出で実績を持つ小松精練も「産業資材用の直接輸出は数%に過ぎない。国内で採用されている商品が海外でどう評価されているのかを探る」(山竹俊樹取締役常務執行役員)ため出展。超微多孔発泡セラミックス基盤「グリーンビズ」では屋上緑化に加え、壁面用やブロックなども提案した。

 平岡織染は欧州市場の開拓に向けて「社名を売り込む」(榎本祥泰海外営業課長)ことを第一義に出展した。同社も間接を含めて輸出比率は10%ほど。とくに競合企業が多い欧州向けはほとんどない。そのため、20年保証品や透明タイプの10年保証品など特徴的な商品に絞り込んで出展した。

 特徴的な商品展示では旭化成せんいも同様だ。高バリア性が特徴のスパンボンド不織布(SB)「プレシゼ」、熱成型SB「スマッシュ」など独自性の高い不織布を持ち込んだ。同時にこれらを使った環境対応フィルターバグ「デコブ」、ノイズ抑制シート「パルシャット」はじめ製品を提案しているのが特徴。

 「アプリケーションも紹介しながら当社不織布のプレゼンスを高める」(スパンボンド営業部の丸尾弘新機能材用担当総括)のが狙いだ。同社は独自不織布の海外販売拡大を掲げており、同展への出展はその一環になる。

 これに対して常連出展の帝人、東レは、ミーティング中心のため欧米企業に近いブース構成をとり、違いを見せた。帝人はオランダのアラミド製造子会社であるテイジン・アラミドが中心の出展で、ほとんどが商談スペース。「各担当者が既存顧客とのアポイントを持って臨んでいる」(テイジン・アラミドの廣川雅一マーケティングマネージャー)。東レも商談中心のブースで「3日間で40~50件の既存顧客との商談」(伊達誠司産業資材事業部長)を予定する。

 このように、テクテキスタイルは新商品で新規顧客を開拓する企業もあれば、既存顧客とのミーティングを重視する企業が混在している点も特徴の一つだ。