東レ/アジア・新興国の事業拡大/現地の研究開発機能も強化

2011年05月27日 (金曜日)

 東レの日覺昭廣社長らは26日大阪で会見し、アジア・新興国での事業を積極的に拡大していくと同時に、現地での研究開発機能を強化していく考えを示した。事業拡大のために各地域で市場ニーズを把握することが重要とみているためで、「現地での開発拠点を強化していく」とする。

 今期からスタートした「プロジェクト AP―G2013」では全社プロジェクトとして「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」「アジア・新興国事業拡大(AE)プロジェクト」「トータルコスト競争力強化(TC―・)プロジェクト」に取り組んでいる。

 このうちAEプロジェクトでは経済成長が見込まれるアジアやその他地域の新興国で積極的に事業を拡大していく計画で、アジア・新興国向け売上高比率を現状の35%から2013年には40%に拡大する。設備投資についても「3年間で計画する設備投資額の50%を日本以外のアジアに向ける」という。

 現在は「中国」「インド・アセアン」「新興国」という3つの委員会を立ち上げ、中国内需向けをさらに拡大すると同時に、アセアンやその他新興国での事業拡大に向けて取り組みを進めている。中国以外では、インドネシアでのポリプロピレン(PP)スパンボンド生産拠点設立や、トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリアでの炭素繊維量産工場稼働(13年1月)などを決定した。

 また、インドについては4月に東レインターナショナルが現地法人を4月に設立したのに続き、現地生産も視野に入れて調査を進めているという。繊維事業では「PPスパンボンドやテクテキスタイルなどの輸出に取り組みながら、将来への布石を打っていく」とする。

 また、「事業を拡大するにはそれぞれの地域で市場ニーズを把握していくことが必要」とし、アジア・新興国での事業拡大に合わせて現地での研究開発機能を強化していく考えを示した。一方、日本における研究開発については「基となる本質の技術や最先端技術を研究していく」としている。