東レのTTEL/耐熱作業服へ新素材/テフロンとアラミド複合

2011年06月02日 (木曜日)

 東レの英国での長繊維織物の織布・染色子会社、トーレ・テキスタイル・ヨーロッパ(TTEL)は、溶鉱炉前など耐熱性が求められる作業服向け新素材として「サーモガード モルテン・リペル」「同ハイ・ビジビリティ カラーソリューション」を開発した。5月24~26日、独フランクフルトで開催された産業用繊維・不織布の国際見本市「テクテキスタイル」で披露した。

 同モルテン・リペルはフッ素繊維「テフロン」とメタ系アラミド繊維を使用するとともに「織り構成にも工夫を施し、2年かけて開発した」(唐沢明会長)と言う。用途は鉄・銅・鉛などの製錬を行う溶鉱炉で作業する防護服向けで、溶融した金属が飛散し作業服に穴を空けることを防ぐ上、洗濯50回でもその機能を維持する。英国の国営企業とタイアップし、耐久テストも実施し、本格販売をスタートした。現在、欧米などの金属大手と商談に入っている。

 一方、同ハイ・ビジビリティ・カラーソリューションは難燃ポリエステルとメタ系アラミド繊維を組み合わせた二重織。石油、ガスの精製所や電力、鉄道関連などに特化した素材だ。

 同分野の作業服は視認性も求められるが、メタ系アラミド繊維は染色しにくく、染色しても耐候堅牢度も低い。このため、通常は他素材との混紡などで商品化されているが、それでも蛍光色などは黄色以外の表現が難しかった。これを解消したのが、同ハイ・ビジビリティ・カラーソリューション。英国鉄道で採用されており、石油会社からも着用テストを行い、承認を得ている企業もあると言う。

 同社は年産4000万メートルの規模を持つが、ファッション用は200万メートルまで減少、そのほか、メディカル、学生服、作業服、オフィスウエア、インテリア、産業資材など幅広く展開する。炭素繊維複合材料の基材なども生産しており「今後、PPS繊維も手掛けていきたい」考えとしている。