産資・不織布・最新情報/テクテキスタイル見聞録(1)“展示より商談”が欧米流

2011年06月06日 (月曜日)

 世界最大の産業用繊維・不織布専門見本市「テクテキスタイル」が5月24~26日、ドイツ・フランクフルトで開催された。前回展(2009年)はリーマン・ショック後にもかかわらず、過去最高の出展者、来場者を記録、今回展はその記録をさらに塗り替えた。日系企業を中心に、活況を呈したテクテキスタイルを振り返る。

 主催のメッセ・フランクフルトによると、出展者、来場者とも過去最高の前回展を上回った。今回のテクテキスタイル出展企業数は50カ国1207社(前回は43カ国1195社)。前回同様、フランクフルト国際見本市会場の3ホールを使用したが、目一杯ブースを設営しており、出展者の多さには毎回、驚かされる。

 来場者数は併催の「マテリアル・ビジョン」を含めて2万4500人(同2万3903人)。会期2日目には来場者数が1万人を超え、会場内は人であふれた。今回展では米国・デュポン、ドイツ・フロイデンベルグ、オランダ・DSM、日本の東レなど前回、出展を取り止めた企業も復活。来場者の増加も含め産業用繊維・不織布の世界的な需要拡大を印象付けた。

 活況だったテクテキスタイルの特徴の一つは出展企業ごとにブース構成が大きく異なる点だ。デュポンはじめ欧米企業は展示する商品が少なく、広いブースの大半をテーブルとイスが占め、既存の需要家を中心に商談重視のスタイルを取る。日系企業は商品展示を行い、顧客開拓に結び付ける手法が多い。

 帝人グループのパラ系アラミド繊維製造、オランダのテイジン・アラミドはもちろん欧米流。日系では最大ブースを構えるが、原糸のサンプルとアラミド繊維を使った製品を数点、外周の一部に展示した以外はテーブルとイスだけ。独自のブース設営で費用も多額と思われるが「新規顧客の開拓という考えは少なく、既存顧客との商談が中心。各担当者が数多くのアポイントを持って臨んでいる」と同社の廣川雅一マーケティング・マネージャーは言う。その面で同社ブースの一画に数多くの製品を並べた帝人ファイバーとの違いが見られた。

 東レも欧米スタイル。ブースに商品は少ない。「3日間で40~50件の予定が入っている。ブース以外に会議室も借りている」と伊達誠司産業資材事業部長。タイ、米国、チェコの各子会社の担当者も欧米企業とのミーティングを行うため、ブースに配置していた。