産資・不織布・最新情報/テクテキスタイル見聞録(2)素材ではなく製品紹介

2011年06月07日 (火曜日)

 商談重視の欧米スタイルを取る日系企業がある一方で、様々な製品を展示し、新規顧客開拓を狙う日系企業は少なくない。旭化成せんいはその1社だ。3回目の出展となる今回はスパンボンド営業部が中心の構成だが、不織布原反ではなく、日本で先行する用途を製品で紹介する手法を取り、代理店や最終ユーザーにアピールした。

「欧州への直接輸出は3%に過ぎないが、拡大の方向にある」と雛元克彦スパンボンド営業部長は言う。増えているのは独自のスパンボンドで、高バリア性が特徴の「プレシゼ」、熱成型性を持つ「スマッシュ」などだ。「テクテキスタイル」ではこうした独自不織布を使った製品をメーンに展示した。その一つがプレシゼを使ったノイズ抑制シート「パルシャット」。展示会に出品するのは初めてになる。

 また、スマッシュを使ったフィルターバグ「デコブ」も出品、独自不織布による用途展開を紹介することで顧客開拓に結び付ける戦略で臨んだ。デコブではポリエステル製スマッシュが先行するが「PPS(ポリフェニレンサルファイド)製も販売を開始する」(スパンボンド営業部の丸尾弘新機能材料担当総括)と言う。

 同じく3回目の出展となる帝人ファイバーもスペースは限られたが、目一杯、独自製品を展示した。もちろん、商談も重視しており、機能製品グループの堀之内新一郎テピルス・ナノフロントチームリーダーによれば、クッション材「エルク」を中心に20件近くの商談を組んでいた。

 エルクは欧州での車両シート向けの開拓に取り組んでおり「将来的には現地での生産拠点も構築したい」と意気込む。また、初めてカラー原着わたも提案したが、東欧やトルコ企業から関心が高かった。

 フランス子会社で出展したJX日鉱日石ANCIは今回が5回目の出展。直交不織布「ミライフ」を中心に出品した。難燃ポリエステル「トレビラCS」を使った難燃ミライフも初披露。ブラインドや壁紙などインテリア分野の開拓を狙う。

 ミライフは海外販売比率が80%と高いが、さらに海外販売を強化する戦略を組んでおり、今年はテクテキスタイルに続き、中国の「インターテキスタイル上海」にも初出展する。ミライフについて小林健一執行役員不織布営業本部長は「軌道に乗ってきた」と手応えを示し、同展ではスリットヤーンによるカーテン地の提案なども行っていた。