ダイワボウの帆布/売上高10%以上伸びる/原材料高騰で値上げも
2011年07月11日 (月曜日)
ダイワボウプログレスが製造・販売する帆布が好調に推移している。2008年のリーマン・ショック後、深刻な市況低迷に陥っていたものが、10年上期から急回復した。今上期も売上高は前年同期比10%以上の伸びを示す。ただ、原材料高騰も激しく、採算が圧迫されており、7月から値上げに踏み切った。今後、値上げの影響がどのように出るかが焦点となっている。
ダイワボウプログレスの産業資材営業部が扱う帆布は、トラック幌やテント倉庫用合繊帆布が主力。ほか、カバン地や空手着用の綿帆布も扱う。岩城宏之産業資材営業部長によると、合繊帆布はリーマン・ショック後の09年は大苦戦だったものが、10年上期から急回復し、「11年上期も売上高は昨対10%以上の伸びが続き、当初計画を上回る勢いが続いている」という。
好調の要因として、流通在庫が大幅に絞り込まれていたところに、震災前まで景気が若干上向いたことで一部需要が回復したことがある。トラック幌などはエンドユーザーの景況が反映されやすい。加えて「北海道から九州まで全13社の販売代理店の頑張りが大きかった」という。ダイワボウが伝統的に培ってきた帆布・重布事業の地域密着主義の営業方針が成果を上げている。
一方、先行きに関しては懸念材料もある。原材料であるポリエステルわた・糸、塩ビ樹脂などの価格上昇に加えて、難燃剤が粗原料の三酸化アンチモンが急騰したことで急激な値上がりとなった。三酸化アンチモンの基礎原料のアンチモンは希土類の一種のため、流通量の80%を産出する中国のレアメタル輸出規制が影響しているとみられる。
このためダイワボウプログレスでも7月からテントなどに使用する難燃シート材は15%強、トラック幌用シートも10%強の値上げに踏み切った。岩城部長は「今後、値上げの影響がどれだけ出るかが懸念材料。ただ、市況自体は劇的に悪くなっていない」と分析する。東日本大震災の影響も懸念されるが、長期的に見れば復興事業の中で帆布・重布の需要にも寄与する可能性がある。
一方で、国内需要の大幅拡大が見込めないのも現実であるため今後は「海外市場の開拓が重要になる」と指摘。3月にシンガポールで開催された国際産業用繊維展「IFAI Expoアジア」にも出展し、フィルターなどと合わせて帆布・重布も提案した。帆布・重布の場合、各国の規制などに応じた提案と開発が不可欠のため「将来的には海外メーカーとの協業も視野に入れる」ことで、市場開拓の方法を模索している。