11夏季総合特集Ⅱ/合繊・紡績・商社の機能素材戦略/真価が問われる12春夏素材

2011年07月21日 (木曜日)

 スーパークールビズを背景に、衣料品市場では冷感や高通気、吸汗速乾、抗菌防臭など機能素材への注目がにわかに高まった。だが、合繊メーカーや紡績、そして商社など素材サプライヤーにとって11春夏の実商売では大きな貢献はできなかった。11春夏素材の商談は、東日本大震災が発生するはるか以前に終了していたからだ。それだけに、12春夏素材への期待は大きい。そこでは、各メーカーの機能素材に対して、真価が問われることになる。ここでは合繊、紡績、商社の機能素材戦略を追った。

ダイワボウノイ/次の注目機能は“遮熱”

 ダイワボウノイは、12春夏素材として熱線カット機能による“遮熱”に注目する。このため赤外線(熱線)カット機能を持つナイロン混素材「レイクールN」を12春夏で重点提案する考えだ。

 レイクールNは、ナイロン100%もしくはナイロン・ポリエステル混に特殊加工を施すことで、熱線である赤外線をカットする機能を持つニット生地。熱線である赤外線を遮蔽することで、同社の実験では一般的なナイロン編み地と比較して2~3℃の遮熱効果を確認した。紫外線もカットする。

 ナイロン編み地のため、成型衣料でも使用が可能だ。このためダイワボウノイでは生地提案だけでなく、中国子会社、大和紡工業〈蘇州〉で成型編み立てする製品提案も行う。引き合いも多数寄せられており、すでにアームカーバーやスポーツ系インナーなどで採用に向けた商談が進行中だ。

 “遮熱”のように、既存の冷感・涼感素材とはひと味違う差別化機能を追求するのが同社の基本戦略である。

クラボウ/ドレスコードの変化に対応

 スーパークールビズの浸透で、ビジネスジーンでのドレスコードが一段とカジュアル化した。これに応えた素材がクラボウの開発した綿100%でW&W性4級を実現したシワ形状コントロール素材「エターナルベール」だ。

 エターナルベールは、同社徳島工場の特殊染色加工技術で実現した。素材。綿のジャケットやパンツの弱点である着用後のシワを抑えるほか、洗濯後の吊り干し乾燥でも通常品に比べシワが残りにくい。このためアイロン回数を減らすことが可能だ。

 同社ではこのほかにも、キシリトール加工による涼感素材「クールレイ」、特殊紡績技術による速乾素材「一屋干し」にキシリトール加工を複合した「クール冷綿」など多彩な機能素材をそろえる。

富士紡ホールディングス/機能素材を肌着から雑貨まで

 富士紡ホールディングスは、高級肌着「ロモス」で綿100%冷感肌着「ロモス アイスドコットン」を展開する。この技術を応用したニット生地「パールマイン」も用意するなど、綿100%による機能素材に力を入れる。

 ロモス アイスドコットン、パールマインともに、接触冷感に加えてシルクのような光沢が特徴だ。また、消臭機能素材では綿100%で機能合繊並みの消臭性能を実現した「デオマックス」をラインアップ。このほどストレッチタイプの「デオストレッチコットン」も開発した。

 衣料品だけでなく、雑貨・身の回り品でも機能素材の活用を進めるのが同社の方針。このほど雑貨ブランド「WITHME(ウイズミー)」も立ち上げた。第1弾として接触冷感生地と吸水性ポリマーを応用した「WITHME冷感スカーフ」を開発、フジボウアパレル直営店とネット通販で販売を開始した。

シキボウ/「デュアルアクション」も機能化

 シキボウは、戦略綿素材「デュアルアクション」でも一部で機能素材化を進めている。今年、接触冷感機能を持つ「デュアルアクションクール」を開発。エレガントな生地表情と機能性を両立したテキスタイルとして注目が集まる。

 デュアルアクションクールは、独自の特殊精紡交撚による超強撚糸を使用することで綿100%でありながら高い接触冷感機能を実現した。糸の毛羽も少ないことから、独特の光沢感がある。機能性とファッション性を両立した素材として4月の発表直後から引き合いが増えているという。

 また、校倉造り構造織物「アゼック」も、その高通気性からユニフォーム地などで人気だ。同様の技術を応用した高通気性シャツ地も12春夏向けで好調な受注が続いている。

 紡績、織布、染色加工まで各工程の技術を融合することによってシキボウの機能素材は開発されている。

ダイワボウレーヨン/練り込み技術で多彩な機能素材

 ダイワボウレーヨンは、得意の練り込み技術を応用して、多彩な機能レーヨンをラインアップしている。天然由来の環境にやさしい繊維であるレーヨンは、同時に機能素材化することで節電ビズなどにも最適の素材となる。

 春夏向けとして注目が高まるのが、糖アルコール練り込み吸水吸熱レーヨン「クールモード」や機能セラミック練り込みによる紫外線遮蔽・涼感レーヨン「スキュータム」、機能セラミック練り込み光触媒抗菌消臭レーヨン「パナケイア」などの機能レーヨンだ。

 一方、原綿販売中心の同社にとって、合繊メーカー、紡績、アパレル、流通など顧客とのコラボレーションが極めて重要な戦略となる。個々の取引先とクールビズやウォームビズを対象とした素材の共同開発を恒常的に進めている。

オーミケンシ/ひと味違う機能レーヨンを

 オーミケンシは、赤外線発熱レーヨン「ソーラタッチ」や調温機能レーヨン「97・6°F」などひと味違う機能レーヨンでウォームビズ、クールビズ対応を強化している。

 ソーラタッチは、通常のアクリル・レーヨン混の吸湿発熱素材と異なり、レーヨンに練り込んだ微粒子金属酸化物が赤外線を熱エネルギーに変換するため、持続的な発熱効果が期待できることから11秋冬向けでも引き合いが増えた。

 97・6°Fも採用先が増加している。特殊ポリマーを練り込むことで衣服内の温度変化を抑える機能が春夏向けだけでなく、冬の快適素材としても評価された。とくにGMSなどが積極的な採用に動いているという。同社では今後、97・6°Fを吸熱冷却・放熱保温の多機能調温素材として通年提案をする考えだ。ではこのほか、春夏向けとして遮熱レーヨンの開発も進行中。他社にない個性的な機能レーヨンのラインアップが充実する。

豊島「オーガビッツ」/増える採用ブランド

 豊島が展開するオーガニックコットン「オーガビッツ」を採用するアパレルブランドが増えている。昨年に比べ採用ブランドは約2割増で、4月からブランドロゴを刷新。社内での素材から製品の連携だけでなく、アパレルなど取引先を巻き込んだ“チーム・オーガビッツ”として、消費者への認知度を高めながら、市場開拓を進める。

 オーガビッツは、昨年7月、最終製品までの「オーガニックエクスチェンジ」の認証を受け、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)を強化した。一方で消費者への認知度を高めるため、雑誌にタイアップ記事を掲載。今年も集英社が発行するファッション雑誌「LEE」の4~6、8月号を通じて「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」や「チャオパニック」などのブランドと、タイアップ企画による記事を載せ、消費者への浸透を図った。

 これまで豊島単独で認知度向上に努めることが多かったが、最近では採用ブランドと一緒にオーガビッツを広げようとする活動も増えてきた。今年4月、「アズノゥアズ」がLEEのタイアップ企画と連動する形で、西武池袋店(東京都豊島区)でオーガビッツ素材を使った衣料を中心に期間限定ショップを開いた。

 ロゴ刷新とともに、今後は下げ札やインターネットサイトもリニューアルし、アパレルが「活用してもらいやすい形」へと転換。共同で消費者への認知度向上につなげる動きも本格化している。

合繊メーカー/快適機能に向けた開発/スポーツ分野がけん引

 東レは「12春夏ウィメンズ&メンズマテリアル展」で、吸水速乾、透け防止などの機能素材や、「シルックルミスティ」「アーティローザ+アンチポラン」など新しい質感や表情のある高感性素材を提案した。

 快適機能ファッション素材では、透け防止・吸水速乾「ボディシェルドライ」、透け防止・接触冷感「ボディシェルクール」、接触冷感・吸放湿「エクスクール」だ。「春からパンツが復活した。上物はきれいな色が多く、ボトムは白が多い。そこで透け防止機能素材が売れている」という。

 スポーツ業界では機能素材がもはや定番だ。セーレンは12秋冬に向け、赤外線吸収ポリエステル素材「フィールサーモ」を。KBセーレンの機能性原糸を使用、発熱・蓄熱効果とともに、どんな色にも染められるのが特徴だ。

 東洋紡スペシャルティズトレーディング(STC)は、12秋冬に向け、蓄熱・吸水速乾「ヒートギア アクエアー」、高捲縮マルチフィラメント使いのかさ高軽量ニット生地「デッドエア ホーム」などを提案する。