11夏季総合特集Ⅲ/在中国日系企業/国内販売拡大に挑む

2011年07月22日 (金曜日)

 従来、日本市場向けに生産地としての中国で役割を果たしてきた日系企業。日本向けで大きな成長が見込みにくいなか、成長著しい足元の中国国内市場での事業拡大が求められている。

商社OEM&ODM/企画力、供給力磨く

 日系商社は日本向けで培ったノウハウを生かし、中国市場でもOEM取引の拡大を進めている。主力生産地であり、工場との直接取引への志向が強い中国で各社は、企画力の向上や生産背景の整備で自社の機能を磨く。

 伊藤忠繊維貿易〈中国〉は中国国内販売の約6割を占める衣料品のOEM、ODMで、レディース、メンズ、スポーツを扱い、デザイナーを増員するなどで提案力を高めている。生産面では、中国の人件費上昇などを受け、グループのアセアンでの生産機能を中国国内向けにも活用していく。

 上海住金物産も企画スタッフの充実や企画会社などとのコラボで企画力を向上させる。これにより、企画から提案し、取引先に合わせたモノ作りに取り組む。中国内販ではトレードだけでは魅力が薄いことから生産背景も整備。昨年9月には上海に従業員30人規模の工場を同社100%出資で設けた。さらに、江蘇省では100人強規模の工場を年内にも稼働させる計画だ。

 分野を絞り差別化を図るのは日岩帝人商事〈上海〉。同社はスポーツやスポーツカジュアル、アウトドア分野に絞り展開している。CADセンターを持ち、パターンや商品の開発力に強みを持つ。中国の大手スポーツメーカーからも開発力が認められ表彰されているという。

 三井繊維物資貿易〈中国〉は中国国内向けのOEM販売で実質的に1年が経過したところ。外部デザイナーを活用したODM型の提案や機能素材を使った商品などが認められ、婦人でこの春から量産が始まるなど実績が出来てきた。

 菱華商業〈上海〉は日本向けで培った企画や生産管理の精度の高さを生かす。企画やパターンなどを充実させ、ターゲット企業としっかり話し込み、経営サポートまで含めて取り組む。

 豊島国際〈上海〉は、内販の製品販売は日系中心だが、今後は中国アパレルへのOEMも拡大させる。このため、自社内での企画人員の拡充強化のほか、本社によるサポートも活用する。日本向けで実績のある工場を活用しながら、日本企画、日本品質を武器に中国アパレルを開拓していく。

テキスタイル販売/販売拠点の整備進む

 上海の日系テキスタイル販売企業は内販向け企画の充実や販売拠点の強化で、更なる拡大を目指す。

 ヤギの上海現地法人、譜洛革時〈上海〉貿易(プログレス上海)は主力事業のカットソー生地の備蓄販売「上海テキスタイルプロジェクト」での販売拡大を目指す。

 同プロジェクトは同社の売り上げの7割を占める。中国の南部や北部でも拡販していくため、広州で初の単独展を開催したほか、北京には4月から事務所を開設した。北京事務所には2人の販売員が常駐し、天津や大連などの周辺都市もカバーしている。

 テキスタイル商社サンウェルの中国法人である燦日泉〈上海〉貿易でも北京地域での販売に注力するため、5月に北京の事務所を拡大移転し、ショールームも設けた。

 また、中国内販アパレルへの企画プレゼン時期が日本向けに比べ非常に早いため、今後は中国アパレルのシーズンに合わせた企画にも取り組み、一層の拡販を目指す。

 宇仁繊維の中国法人、小紋貿易〈上海〉は小ロットでも多くの販売先を持つことを重視し、新規開拓に取り組む。また、生地の現物販売の機能を生かし、期中企画に向けたプレゼンも強化する方針だ。

 大津毛織グループの上海龍和大津工貿は中国国内販売の拡大に伴い、上海世貿商城(上海マート)にショールームを併設した営業事務所を開いた。従来は金山区の工場内に事務所を設けていたが、市内中心部までの利便性などから新事務所が必要になったという。

 桑村繊維の現地法人、上海桑村商貿は中国国内向けの販売はレディースのヤング~キャリアゾーンのアパレルが中心。販売先の企画に合わせた生地が中心だが、自社企画の生地開発も進める。上海近郊の縫製工場を活用し、製品での販売も始めている。製品はまだ規模が小さいものの、着実に伸びてきているという。

副資材企業/日本式サービス売り込む

 副資材企業も日本向け中国生産への販売だけでなく、中国アパレルへの取り組みを強めている。日本向けで培ったサービス体制やフォロー体制なども武器に中国市場の開拓に取り組む。

 尾崎織マークの中国現地法人、南通尾崎豊商標制作は下げ札などを生産するほか、ネームなども扱う。同社でも日本式のトラブル処理などの安心感から徐々に中国アパレルとの取引も出来てきている。

 清原の上海現地法人、上海清原は中国国内向け売り上げの半分を占める。同社は上海のほか、北京にも連絡所があり、北京や上海周辺の高級ゾーンの百貨店アパレルなどへ販売している。

 同社は日本人駐在員と日本への留学経験者で全社員のほぼ半数を占める。このため日本のサービスなどを熟知しており、中国の取引先に向けても日本式のサービスで取り組んでいく。

 島田商事〈上海〉は日本アパレル向けが80%、中国10%、欧米10%で、スポーツ衣料やカジュアル向け中心に服飾資材を総合的に扱っている。上海では取引先のニーズに応じ、日本本社の企画室と連携し、企画提案している。

 中国国内販売や欧米向けには毎年秋に開かれる「インターテキスタイル上海」への出展を継続している。リピーターも獲得し、実際の商売にもつながってきたという。

 テンタックの上海現地法人、上海天徳商標も同じくインターテキスタイル上海展などに出展し、欧米や中国国内販売先を開拓している。販売の主力は最終的に日本で消費される商品向けだが、欧米アパレルの中国生産や中国アパレル向けにも取り組んでいる。日本向けの管理体制やトラブル時のフォロー体制などが中国アパレルなどにも認められているという。