クラレ・ポバール販売部/前年並み確保めざす/粘度制御商品を本格販売
2011年08月02日 (火曜日)
クラレの木村一ポバール販売部長は、PVA(ポリビニルアルコール)市場について「2010年は回復基調にあったが、今年は東日本大震災や、輸出への円高の影響がある。新商品の提案などで前年並みを確保したい」と語る。
表は酢ビ・ポバール工業会のまとめたPVA需要状況。10年は前年比13%増の22万3708トンと、リーマン・ショック後初めて前年比増に転じた。木村部長は「韓国向けの輸出が好調だった。国内は接着剤の伸びが大きく、ビニロンは欧州向けアスベスト代替が伸びた」と分析する。
今年1~5月期合計は9万9308トンで前年同期並み。ビニロンは引き続き欧州向けアスベスト代替の引き合いが強い。繊維も1677トンと、3%増。「中国の織物が高騰し、国産回帰となった。しかし、10月以降も継続するかはまだ不明」とみる。
一方、前年好調だった接着剤は2%減に転じた。「車のフロントガラスのフィルム用が震災の影響を受けた。秋には車需要が回復するとみられ、減少は一時的」という。今後は震災の影響を受けた自動車需要の回復に加え、円高がどこまで進むかといった為替動向次第だ。
繊維向けは、「織物だけでなく、研磨布需要が盛り返してきている。複合繊維の開発が進めば、ポバールの技術サポートも行っていく」とする。また、今年度は粘度制御商品「TRシリーズ」「SNシリーズ」のプロモーションも本格的に進めていく考えだ。