アジア特集・検査機関/アジアのモノ作りを支援

2011年09月28日 (水曜日)

 海外で生産しても、試験や工場指導などは欠かせない。日本の検査機関はアジアに拠点を設け、そのモノ作りを支援している。

カケンテストセンター/中国、アセアンに拠点/時代要請に応じた体制で

 カケンテストセンターは中国において、上海科懇検験服務を中核拠点に、青島、大連、寧波、無錫、香港に検査所・試験室を置く。

 このうち、上海科懇検験服務では、特定芳香族アミン類分析試験を開始した。繊維製品の染色に使用するアゾ系染料や顔料の中には、還元分解したときに有害な「特定芳香族アミン類」を生成するおそれのあるものがある。

 この「特定芳香族アミン類」は、中国や韓国、欧州連合(EU)諸国などでは既に法規制の対象となっている。上海科懇の建物内に専用の部屋を設け、試験に必要な機器、専任スタッフを配置した。

 また、本年1月より中国から輸出される繊維製品については、「中国人民共和国輸出入商品検査法」(商検法)に基づく法定検査が実施されているが、カケン青島試験室は、山東省検験検疫局からの認可により、商検法に基づく法定検査を行うようになった。

 さらに、香港検査所は、オーストラリアン・ウール・イノベーション(AWI)の試験所認定審査を受け、書類審査・手合せ試験を経て、AWI試験所認定を取得した。

 中国以外では、韓国、台湾、インドネシア、タイ、ベトナムに提携機関を設け、その国に合った技術指導、納入先基準に応じた試験業務、工場出張検査や持ち込み検査業務などを実施している。

QTEC/上海試験部、青島が移転/ダッカラボ業務拡大へ

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、韓国、上海、青島、無錫、深せんに加え、バングラデシュのダッカに試験センターを有する。

 このうち上海試験センターはテストラボが手狭となったため、7月下旬から試験部門のみ上海市普陀区常徳路1339号の金昌商務中心A楼6階に移転した。検査部門(ロット検査、出張検査等)は現在の事務所(上海市肇嘉浜路359号)を7階にフロア変更し、引き続き業務を行っている。

 青島試験センターも8月から山東省青島市四方区重慶南路81号甲の中国検験認証集団山東検測(略称CCIC―ST)4階に移転し、本格稼働している。

 また、バングラデシュの首都ダッカに昨年、試験センター(ダッカラボ)を設立した。日本企業の生産がバングラデシュで増えたためだ。「現地には欧米の大手試験・認証機関がすでに参入しており、グローバルな競争が激しい。染色は欧米の技術が入っており予想以上にいいが、縫製はロスが多い。業務は拡大に向かっている」という。深せん試験センターは「雑貨関係がいい」ようだ。

 QTECはチャイナ・プラスワンとしてアセアンの新たな拠点を模索する。現在、タイやインドネシアなどを候補地に調査中だ。