バルセロナからの手紙『ITMA2011』報告(9)織機・織布関連機器(3)資材用途を視野に革新機

2011年10月19日 (水曜日)

 欧州の織機メーカーは、明確に産業資材用織物への傾斜を強めている。従来の主力用途に加えて新規用途として資材をターゲットに据えるケースがますます増えたのが今回のITMAの特徴だろう。さらに、驚くべき革新機構も登場した。

 イテマウィービングは、プロジェクタイル織機「スルテックスP7300HP―V8」を実機出展したが、内容はこれまでと大きく変化した。従来、圧倒的な緯糸挿入安定性を武器にデニム製織などダブル幅の厚地用途で優位性を訴えてきたスルテックスP7300HP―V8だが、今回はポリプロピレンフラットヤーンの製織実演を行った。世界的にデニム市況が低調ななか、プロジェクタイル織機で土木資材織物など新規需要を掘り起こそうという姿勢が明確だ。

 同社に限らず、いまや欧州のレピア織機・プロジェクタイル織機メーカーにとって資材用途の訴求は必須項目となっており、ピカノールやドルニエなどもモノフィラメントやアラミド繊維などの製織を実演する。

 ヤコブ・ミュラーは新型の細幅レピア織機「MJB」シリーズ、ニードル織機「NH」シリーズを披露。省エネに加えてミネラル系複合材料を使用することで剛性と省資源を両立した機種だ。同社も従来の服飾資材から産業用リボン製織での採用が増えている。NHでは織り紐を毎時584メートル(73メートル×8)で製織実演するなど新規用途開拓への姿勢を強める。弾性糸入りリボン用インクジェットプリンター「MDP2E」もユニークな機種。リボンにバーコードを印刷する実演を行った。こちらもリボンの新規用途開拓を狙うマシーンだ。

 こうしたなか、驚くべき革新機構を発表したのがドルニエ。「オープン・リード・ウィーブ(ORW)」を披露した。ORWは、筬上部が開放されており、そこから特殊ニードルで織物に対して垂直方向に糸を織り込むことを可能にする。デモンストレーションでは刺繍糸を織り込むことで製織と同時に刺繍柄を表現した。

 だが、これだけ複雑な機構を駆使して刺繍柄表現が目的とは考えられない。関係者によるとORWを駆使することで3軸、4軸の織物が生産可能だという。明らかに本来の目的は複合材料基材などテクテキスタイルだ。

 バン・デ・ヴィーレも新型ラグカーペット織機、ダブルレピア「RCI02」、トリプルレピア「RCI03」を披露した。グランドヘルドフレームをサーボモーターで駆動させる「スマート・フレーム(SF)」機構を採用。従来の機械式駆動では不可能だった非対称的な地組織での製織が可能になる。会場ではカーペット製織を実演したが、ブースの片隅にはRCI02で製織した三次元織物を基材としたコンポジットサンプルが展示されている。見る人が見れば、これも明らかに産業資材を視野に入れている。

 ある消息筋は「今回のITMAには表のITMAと裏ITMAがある。表は衣料用繊維。裏は資材。表向きは衣料用のように見せて、じつは資材用途を狙っている機種がたくさん出展されている」と指摘する。欧州メーカーの開発の懐の深さを思い知らされた。