シキボウ 中東民族衣装用織物/販売量30%増の勢い/「セルグリーン」のブランド力で
2011年11月25日 (金曜日)
シキボウの中東民族衣装(トーブ)用織物が好調だ。頂点商品である「セルグリーン」のブランド力を武器に今年は販売量が前年比30%となる勢い。同社では引き続きインドネシア子会社、メルテックスの生機と染色子会社、シキボウ江南の加工を武器に新規商材も投入しながら中東向け織物輸出の拡大を進める。
中東民族衣装用織物は、今年に入ってからサウジアラビア市場がリードする形で需要回復が続いた。アラブ世界での民主化運動激化を背景に、サウジアラビアでは民衆の政治不満を抑えるために現金給付が実施されており、これが消費者の購買力回復につながった。
需要回復を受けて、シキボウのトーブ織物も主要市場であるドバイ、サウジアラビア、クウェート、ドーハいずれでも好調だ。HWMレーヨン「モダール」・ポリエステル複合織物「セルグリーン」が高いブランド力を有しており、とくにドーハ市場ではトップブランドに君臨する。最近では市場で品薄感が出るほどだ。中東向け輸出は、円高による採算悪化が課題だったが、おう盛な需要と品薄感から今年1年間で30%以上の値上げに成功したことで採算も改善した。
セルグリーンの好調に加え、最近ではポリエステル短繊維100%品の販売量も増加傾向。シキボウ江南加工によるミドルハード仕上げが好評で、とくにドーハ市場から人気に火が着いた。
中東市場では、ラマダン、ハジ商戦ともに終了し、今年の商戦はほぼ終わった。来年に向けて同社では引き続き拡大路線を継続する。ラインアップの拡充も進める。昨年から新たにトリアセテート・モダール・ポリエステル複合織物「チコリーノ」を投入したのに続き、今年から精製セルロース繊維「テンセル」・ポリエステル複合織物の提案も開始した。今後はセルグリーンを頂点に、セルロース系繊維複合織物のラインアップで中東市場を攻める考えだ。