伊藤忠タイ/自動車関連が大きく伸長/来期はTTLの復旧次第

2012年03月21日 (水曜日)

 伊藤忠〈タイランド〉の2012年3月期は、自動車資材関連の好調などによって前期比増収増益となる見通しだ。来期に関して西川弘也副社長は「資材関連は問題なく伸びそう」としながら、その他事業についてはグループ会社であるTTLインダストリーズの洪水被害からの復旧に大きく左右されるとの認識を示した。(バンコクにて吉田武史)

 今期後半は大洪水でグループの紡織加工一貫企業、TTLの工場が操業停止を余儀なくされ、「多大なインパクト」を受けた。とくに、ベトナム縫製向けの拡大に取り組んでいたテキスタイル事業が「ガクッと失速した」という。代替供給先探しにも奔走したが、成果は一部にとどまった。

 しかし、通期業績は「上期の貯金」が寄与し、増収増益を果たしそう。とりわけ、自動車関連が大きく貢献した。同国自動車産業も洪水によって打撃を受けたが、日本、中国からの受注獲得に成功し、しのいだ。この結果、前期は資材以外(原料、テキスタイル、縫製品)と資材の比率はほぼ拮抗していたが、今期は資材以外が3・5、資材が6・5という構成になった(ともに利益ベース)。

 来期は衛生材料を含めた資材事業でさらなる拡大を図るとともに、その他事業ではTTLの復旧状況を見極め、代替先の確保などに注力する。縫製品事業ではタイ周辺国の開拓が課題だが、注目を集めるミャンマー縫製では一日の長があり、その強みを発揮していく。