2012春季総合特集4/ 中国内販、機能性試験などに対応する検査機関

2012年04月26日 (木曜日)

 検査機関は中国における機能性試験の拡充を進める。また、芳香族アミン類の試験も強化する。中国内販を目指す企業に対してのサポート体制も進んできた。チャイナ・プラスワンにも着手する。

カケンテストセンター/「上海科懇分析センター」を開設

 カケンテストセンターは中国で、上海科懇検験服務(以下、上海科懇)を1994年に設置したほか、青島、大連、寧波、無錫にも試験室を設けてきた。この4月からは上海科懇の4階に「上海科懇分析センター」を新たにオープンし、上海科懇の試験内容の拡充を図っている。

 pH、ホルマリン、芳香族アミンの定量試験など、消費者の間で昨今重要視されている衣料品の安全性に関する試験を中心に、布団やダウンジャケットなどに使用されている羽毛に関する羽毛混用率試験、主に夏物の衣料品に使用される綿/麻に関する綿麻混用率試験についても上海科懇分析センターで試験を実施する。

 こうした中国での試験内容の充実の背景には、機能素材が婦人服用途でも使われる時代となったことがあり、吸水速乾性については既に上海科懇と香港検査所で対応する。

 また、繊維産業連盟などが衣料の安全性で特定芳香族アミン類の自主基準を発表した。カケンテストセンターではこの特定芳香族アミン類の分析にも注力する。試験に関する問い合わせは、東京事業所分析テストラボあるいは大阪事業所分析テストラボで対応している。

 チャイナ・プラスワンでは、4月に「カケンインドネシア」を設立した。これは検品会社のカケンとの合弁で、ジャカルタ市内で検査と検品サービスを提供する。試験から検品まで一貫で行う。

ボーケン品質評価機構/機能拡大で中国内販支援

 ボーケン品質評価機構はこれまで、中国では上海浦東、上海浦西、常州、青島、広州、杭州で試験センターを運営する。さらに上海には機能素材の試験を行う機能性分析センターも開設している。従来は、日本向け製品の品質試験が中心だったが、現在は中国内販向け製品の検査体制も拡充した。その一つが中紡標〈北京〉検験認証中心(略称CTTC)との提携によるCALマークへの対応だ。

 CALマークは中国当局の品質監督部門が認定する検査機関だけに発行が認められた権威あるマーク。認定検査機関は行政が実施する法定品質監督検査を引き受けることができるため、事実上、外国系検査機関は認定されないとされる。

 一方、北京を中心とした華北地域では百貨店などからCALマーク付き検査報告書の提出を求められるケースが多い。このため中国内販を目指す日系企業にとってCALマーク取得のニーズが高まっていた。今回、ボーケンがCTTCと提携したことでボーケンを通じてCALマーク付き検査報告書を取得することが可能になり、中国内販拡大を目指す日系企業にとって利便性が向上する。

 中国では、上海機能性分析センターも検査依頼が順調に増加中だ。中国でも機能素材の生産が拡大しており、日本に検査サンプルを送らずとも、現地での試験が可能なことから、やはり検査依頼企業の利便性は高い。このほか3月にはジャカルタ試験センターも開設した。

QTEC/無錫で羽毛試験開始

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、中国の上海、青島、無錫、深に試験センターがある。また、韓国、バングラデシュのダッカにも試験センターを設置する。

 中国の無錫試験センターでは、羽毛組成混合率試験をはじめ、かさ高性、羽毛吹出し試験などの各種羽毛試験を開始した。羽毛ふとん、ダウンウエアなどの羽毛製品の製品検査、耐洗濯性等の一般試験も実施可能である。

 日本の中部事業所羽毛業務担当者が、無錫試験中心に常駐し、中部事業所と同等の試験精度を保つ。無錫出入境検験検疫局とも連携し、羽毛試験についても中国国内内販向けGB試験が実施可能となった。

 青島と無錫の試験センターでは中国国内販売向けの試験も可能で、上海においても準備を進める。さらに深でも内販対応を進めていく考えだ。また、深では傘や靴といった雑貨試験が増えており、こうした雑貨に対する試験・検品は今後も需要が高まりそうだ。

 機能素材対応では上海と青島で吸水速乾やUVケア試験ができる。「今後も顧客と相談しながら機能性試験の範囲を広げる」という。

 一方、QTEC認証検品工場制度も推進。QTEC認証検品工場審査要領に基づき検品工場の技術を評価し、認証する制度で、工場の品質管理体制、検品技術などを支援していく。

ニッセンケン品質評価センター/エコテックス規格100を

 ニッセンケン品質評価センターは、中国での試験・検査体制を強化する。中国・南通事業所、南通人民路事業所、上海事業所において芳香族アミン(アゾ染料)の分析試験(24種類)を昨年から開始した。分析機器と人を配置し、発ガン性物質の疑いのある芳香族アミンの分析試験を行い、証明書を発行する。また、吸水速乾など機能性試験も行える機器を増強した。

 日本繊維産業連盟(以下、繊産連)は3月末、22種類の特定芳香族アミンに関して、繊維産業における自主基準「繊維製品に係る有害物質不使用に関する自主基準」を発表した。

 消費者の安心・安全を確保するため、自主的に芳香族アミンの分析検査を行っていた企業もある。しかし今後は、繊維製品の製造・販売を行うに当たって、繊産連が定めた自主基準に基づいて、各事業者が芳香族アミンの規制に取り組む必要が生じている。

 ニッセンケン品質評価センターは、芳香族アミン等の有害物質検査機関として日本で唯一の国際認証を得ている“エコテックス規格100”のエコテックス事業所を中心に、日本国内の13事業所、中国の6事業所で特定芳香族アミンの分析試験の依頼を受け付けている。

 一方、検品についても、南通事業所、崇川事業所で業務を行い、4月から南通人民路事業所でも検品業務を開始した。