アジア戦略は今~グローバル時代の生き残りは(53)検査機関編(前)中国で機能試験拡充

2012年05月07日 (月曜日)

 日本の検査機関は「一般財団法人」への移行に伴い、以前よりも自由な業務活動が行えるようになった。中国での試験では機能加工試験も対象にし、内販対応にも注力する。また、チャイナ・プラスワンとしてアセアン地区への進出も進めている。

 カケンテストセンターは香港検査所を皮切りに、上海科懇検験服務(以下、上海科懇)、青島、大連、寧波、無錫に試験室を設けてきた。ここにきて、機能素材が一般衣料にも使われるようになり、機能性など特殊試験を海外でも行える体制作りを進めている。

 この4月から上海科懇4階に「上海科懇分析センター」を新たにオープンしたのも、試験内容の拡充の一環である。pH、ホルマリン、芳香族アミン類の定量試験など、消費者の間で昨今重要視されている衣料品の安全性に関する試験を中心に、羽毛混用率試験、綿麻混用率試験についても同センターで試験を実施する。

 ボーケン品質評価機構は中国の上海、常州、青島、広州、杭州のほか、香港、台湾に試験センターを有する。上海で昨年4月開設した機能性分析センターは、消臭性や接触冷温感、吸汗速乾、吸湿発熱、光吸収保温、UV遮蔽率、特定芳香族アミン類などの試験に対応。昨夏から試験機なども増強し、当初の約10倍の検査量になった。従来の日本に送っていたときの検査に比べ、納期は半分以下に短縮した。

 韓国、上海、青島、無錫、深センに加え、日系検査機関として初めてバングラデシュ・ダッカに試験センターを設けたのが日本繊維製品品質技術センター(QTEC)。要望の多い機能素材対応では、上海と青島で吸水速乾やUVケア試験を行う。「今後も顧客と相談しながら機能性試験の範囲を広げたい」という。また、深センの試験センターは傘や靴といった雑貨試験が増えた。無錫では羽毛組成混合率試験をはじめ、かさ高性、羽毛吹出し試験などの各種羽毛試験を開始した。

 日本で唯一の「エコテックス規格100」の認証機関でもあるニッセンケン品質評価センターも、中国での試験・検査を拡充。昨年から中国・南通事業所、南通人民路事業所、上海事業所で芳香族アミン類の分析試験を開始し、現地から繊維製品の安全性をサポートする。