特集「ITMAアジア+CITME2012」プレビュー/化合織・紡績機械

2012年06月01日 (金曜日)

村田機械/「ボルテックスⅢ」アジアでお披露目

 村田機械は、昨年の「ITMA2011」でデビューした新型特殊渦流精紡機「ボルテックスⅢ870」、自動ワインダー「プロセスコーナーⅡ QPRO」を実機出展し、アジア市場で披露する。産業資材用ツイスター「№3M6」も実機展示し、衣料用途から産業資材用途まで幅広い分野での機械ラインアップを訴求する。

 「ボルテックスⅢ870」は、ポリエステル50%・綿50%混紡糸30単の高速紡績を実演する。前身機から精紡室の設計を一新。精紡室から糸を引き出すデリバリーローラーをニップローラーからフリクションローラーに変更することで精紡段階の紡績テンション制御を格段に向上させ、高品質な糸を安定的に紡績できる。最新鋭のスピニングセンサーも搭載しており、クレームレスなパッケージ生産も注目だ。

 4月から量産がスタートしており、受注も順調に得ている。吸水性や抗ピリング性に優れるボルテックス糸がレギュラー糸より高値で販売できる傾向が強まっていることから評価が高い。

 自動ワインダー「QPRO」は、PCバルコン、PCテンサー、PCセンサーで構成するPCモジュールを搭載することでボビンからパッケージまで糸テンションを最適な状態にコントロールする点が最大の特徴。高生産かつ高品質のパッケージの巻き取りが可能だ。

 実機はマガジンタイプに加えてVCF(バーティカル・コンベヤー・フィーディング)タイプを披露するのも見どころ。中国などで多数稼働している手揚げ精紡機のボビンに対応した省人化システムだ。マガジンタイプと比べて75%の省人効果がある。オペレーターが管糸箱のボビンを流し込むだけの作業でワインディングできるため、ボビントレータイプと比較して省スペース性に優れる。中国市場に向けた戦略機種といえる。

 産業資材用ツイスター「№3M6」は、タイヤコード用ケーブラーとカーペット用ケーブラーの撚糸を実演する。タイヤコード用の3M6―CTはシンプルな機構を採用した優れた操作性が特徴。消費電力の最適化で省エネルギー性能も向上している。カーペット用の3M6―CCは単錘スピンドルを採用することで高速化を実現。長錘化も可能だ。

 世界的に繊維機械市況が軟調ななか、村田機械ではITMAアジアを起爆剤に、ボルテックスの拡販を進める戦略だ。自動ワインダーもQPROによるシェア拡大を狙う。価格以上の価値を実現する繊維機械をアジアのユーザーに提案する計画だ。

TMTマシナリー/大画面で導入実例紹介/神津製作所も共同出展

 TMTマシナリーは、昨年にスペイン・バルセロナで開催された「ITMA2011」に続いて「ITMAアジア+CITME2012」でもブースに大型ディスプレーを持ち込み、同社のテークアップワインダーと高速延伸仮撚り機を大規模導入している中国大手合繊メーカーのプラントの様子を映像で来場者に紹介する。

 このほど資本業務提携した神津製作所も共同出展。神津製作所がTMTマシナリーグループに加わったことを世界に向けて披露する。

 今回、映像で紹介するのは、テークアップワインダー「ATi―MantaⅡ」と高速延伸仮撚り機「ATF―1500」。ATi―MantaⅡは、2ヘッド24ボビンまで対応可能なポリエステル、ナイロン用高速テークアップワインダー。多エンド化やボビンホルダーのロング化ニーズが高まるなか、高生産性と省スペース性を同時に実現する機種として世界的なヒットとなっている。一方、ATF―1500―4は、1台当たり384錘という多錘化を実現することで極めて高い生産性と高速化・自動化を実現している。低床レイアウト設計による省スペース性も特徴だ。加撚ゾーンには非接触式の「HTH(高温ショートヒーター)」と「SCP(サクションクーリングプレート)」を搭載。直線的で短い加撚ゾーンを実現している。こちらも中国を中心に大規模導入が進むヒット機種だ。

神津製作所/高機能繊維用ワインダー出展/一般繊維用の販売拡大も

 TMTマシナリーグループに入った神津製作所は、TMTマシナリーのブースで共同出展する。得意とする高機能繊維用ワインダー「ARK―1000D」を実機展示する。

 ARK―1000Dは電子制御式2コップタイプの高速自動ワインダー。自動変換装置付き2コップ方式を世界に先駆けて採用したことでワインディング能力が大幅に向上している。

 同社では炭素繊維やアラミド繊維など拡大する高機能繊維分野の需要を取り込むと同時に、展示会を通じて一般繊維用ワインダーの拡販や販売代理店網の充実を進める。

AIKIリオテック/新規顧客開拓を推進/展示はパネルとモニターで

 空気糸加工機メーカーのAIKIリオテックは、実機出展はせず、パネル写真と映像で同社の機種ラインアップを総合的に紹介する。ITMAアジアに継続出展することで認知度を高め、新規顧客開拓を推進する戦略だ。

 中国でATY生産が盛り上がったことで同社の空気糸加工機の販売も堅調に推移していた。しかし、ここにきて中国でのATYブームも一服したことから、今後は中国市場に加えてインド市場の開拓を進める。

 同社の機械による高品質な糸加工性能に加え、自動化、工程短縮、省エネ、操作性向上、切り替え利便性などソフト面での優位性を打ち出すことで新興国のメーカーとの競合を勝ち抜くことを目指す。そのためにアフターサービスの充実なども重点的に訴求する。

阿波スピンドル/省エネ、高品質ノズル提案/東南アジア市場の成長も期待

 阿波スピンドルは、紡糸プロセス用のインタレスノズルとマイグレーションノズル、そしてウオータージェット(WJ)織機用ノズルを出展する。いずれも省エネに加え、高品質な加工を可能にする差別化パーツだ。

 インタレスノズルは従来品との比較で空気流量を40%削減することに成功した。マイグレーションノズルは空気量削減に加え異型断面糸などで毛羽の発生率を低減することに成功している。WJ用ノズルも水使用量を20%削減し、高速回転にも対応した。いずれも省エネなど環境対応と高品質生産を可能にする。

 同社では、引き続き中国が最大市場であることには変わりないとしながらも、“中国+1”として東南アジア市場の成長にも期待を寄せる。