中国化繊協会長語る/化繊産業の高度化へ川下と連携し販促を
2012年06月25日 (月曜日)
【上海支局】中国化学繊維工業協会は3月に北京で「中国繊維流行トレンド」というイベントを行った。2012/13年度に流行が予想される各種の機能繊維を発表したもので、同協会によるこうした催しは初めて。量的拡大一辺倒から脱却し、質的転換を図ろうというもの。本紙が提携する中国紡織工業聯合会機関誌「紡織服装週刊」が端小平会長にインタビューした。その要旨を紹介する。
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――新商品の研究開発やプロモーションの分野で、中国と諸外国とではどんな差があるのですか。
「第11次五カ年規画」の期間中(2006~2010年)に研究開発の差は縮まったが、プロモーションやブランド力の差はほとんど変わっていない。
この2つの課題には密接な関係がある。前者の差は後者の差を決定的なものにし、後者の差は前者の差を縮めるスピードを遅らせる。企業も業界も現在、前者の差だけに目が行き、後者の差について注目してない。後者の差を解決しないと、前者の差のキャッチアップも進まない。
――「ライクラ」「モダール」など欧米のブランドプロモーションは成功している。それに比べ、中国のブランドプロモーションはなぜ弱いのでしょうか。
次の3点が指摘できる。
(1)商品の市場におけるポジショニングが定まっていない。新商品を打ち出す前に、それに適応する需要が市場のどこにあるのかを見つけないといけない。
(2)明確なブランド戦略がない。ブランドが消費者の心をつかむには、商品の品質や機能以外に文化や理念、思想、ライフスタイルなどの付加価値が必要だ。
(3)先進的なプロモーション理念がない。大部分の化繊メーカーが自らを原料の提供者としてしか認識していない。どう売って、どうもうけるかにしか目が行っていない。川中・川下の企業と連携して、最終消費者の動向をつかまねばならない。
――化繊メーカーと業界はどうするべきでしょうか。
第一歩は政府や公的機関、組織の力を借りる。政府などの力を借りて商品プロモーションを展開すると、強い支援が得られるほか、消費者の商品への信頼度もより高くなる。とくにブランド建設の初歩段階では、その方法は有効だ。プロモーション費用を節約できると同時に、市場リスクも最小限に抑えられる。我が協会が今春開催した「中国繊維流行トレンド」イベントはその具体化である。
第二歩は優秀なパートナーを選択する。繊維ブランドの価値はあくまで衣料品などの最終製品から実現しなければならない。最終製品に問題が発生すると、原糸メーカーの名誉も傷つけられる。今回の「中国繊維流行トレンド」イベントで我々は川下の企業や団体と提携関係を結んだ。そのような行動を通してサプライチェーンを構築していく。
第三歩は第三者機構のタグを使う。統一して認証されるタグの使用は、国際的な高品質サプライチェーンと販売システムを構築するための重要な一環である。
第四歩として化繊協会は早く標準を策定するよう努力する。企業が直面している困難を解決するため、企業からの申請をもとに、特定問題を対応する業界標準を作り出す。それは今後、国家標準にも反映されるだろう。
第五歩は最終製品ブランドの力を借りる。ブランドを育てるには大量の資金と時間がかかる。化繊メーカーの製品がそのまま消費者の目に触れることはない。アパレルメーカーなどと組んで、連合ブランドを立ち上げ、共同作業することが良策だろう。
――「中国繊維流行トレンド」のイベントは今後も続きます。
来年は同時期に開催される「ヤーンエキスポ」展の会場に「中国繊維流行トレンド」が発表した繊維を紹介するコーナーを設置する。さらにはその繊維を使ったファッションショーも検討する。川下の企業にこの繊維をこうして使うと効果的だと知らせていく。
また「繊維流行トレンド」を発表する前の段階で我々は企業への基礎調査研究と情報収集作業を大規模に行う。そして、トレンド策定の審査チームに専門家や川下企業も招いで、審査の透明さと公正さを保証する。