帝人/来年4月、10万トン体制へ/外販用DMTの設備増強
2012年07月18日 (水曜日)
帝人はPET(ポリエチレンテレフタレート)の原料として使用されるDMT(テレフタル酸ジメチル)の外販用設備を増強することを決めた。DMTの特性を生かした特殊化学品での需要拡大に対応するためで、松山事業所・DMT工場内に外販するための生産・出荷設備を1系列増設し、外販用年間生産能力を現在の5万トンから10万トンに増やす。
投資額は約10億円で、10月に着工し、来年4月から稼働する予定。この設備増強により外販用DMTの生産能力は世界トップクラスになるという。自社生産の原料として用いる分を合わせたDMT年間生産能力は23万トンで変わりない。
帝人は、1964年にDMTの生産を開始し、帝人グループが製造販売するポリエステル繊維、ポリエステルフィルムなどの原料として使用してきた。そして80年代にDMTの長期保存を可能とするフレークス形状の生産技術を確立したことで外販を開始。その後、外販に適した形状の生産技術を確立したことなどから販売規模が拡大している。現在は外販で約50億円の売り上げがあり、16年には約3倍に拡大する計画だ。
DMTはかつてPET原料として広く使用されていたが、現在は設備の大型化が進んだPTA(テレフタル酸)が汎用PETの原料として主流となっている。こうした中でDMTメーカーの数は減少傾向にあり、中でも外販のための体制を整えているのは数社に限られる。
その一方でDMTには(1)低温での機能粒子添加が可能(2)溶剤に溶けやすく反応させやすい(3)中性であるため添加剤の機能阻害などが少ない――など固有の特性があり、現在は特殊ポリエステルやエラストマー、接着剤、耐薬品性に優れるガラス代替素材など特殊化学品原料用途に向けて展開している。とくに競合が少ない日本やアジア地域を中心に多数の引き合いがあり、今後も需要の拡大が予想されるという。