繊維ニュース

2012秋季総合特集(5)事例研究(4)――検査機関にみる業界支援/日本のソフトパワー

2012年10月26日 (金曜日)

安心安全を広範囲に展開

 メードイン・ジャパンの魅力であるモノ作り。だが、それは単独では成立しない。デザインが、ブランド力が、さらに販売手法などが相まって消費者を引き付けているのも事実。また、日本製品の特徴である“安心・安全”は検査機関が支えてもいる。

カケンテストセンター/服飾雑貨の試験も強化/ライフスタイル化映し

 カケンテストセンターは小売店頭で服飾雑貨が増加しているため、衣料だけでなく服飾や生活雑貨の試験も強化している。

 傘の試験では、漏水、傘骨の強度、親骨の折り曲げ強度、中棒の引っ張り強さ・曲げ強度、生地の耐水度・撥水度、メッキの種類識別、耐食性(さびにくさ)を測定する。

 靴では、表底のはく離強さ・屈曲性・磨耗強さのほか、表底の磨耗に対する抵抗力を測定。また、爪先はく離強さ、甲バンドやヒールの取り付け強度、漏水も試験する。

 バッグ類は取っ手の取り付け強さ、縫い目強さ、スーツケースの落下衝撃、キャスターの走行性や衝撃走行性試験、染色堅牢度試験がある。

 アクセサリーでも外観検査のほか、ベルトの引っ張り強度や染色堅牢度を試験する。また、金属アクセサリー類に含まれる鉛の含有量・溶出量を米国消費者製品安全委員会(米CPSC)の試験法で測定する。

 縫いぐるみにも染色堅牢度、燃焼性、安全性の確認試験がある。生活雑貨関連でも外観検査から耐熱性、可動部チェック、安全性評価などがあり、アパレルブランドのライフスタイル化ニーズに合わせた対応を進めている。

 さらに雑貨以外でも産業資材、建材、壁紙といった分野の試験も行う。シックハウス症候群の原因にもなるVOC(揮発性有機化合物)も測定する。

 こうした取り組みはセミナーの形でも情報公開している。

 きょう(26日)午後から、東京事業所堀留セミナールームでは「雑貨品・キッチン用品の品質管理セミナー」を開く。国内法規制、品質表示・組成表示、取り扱い表示から、品質評価方法・品質基準の解説などを行う予定である。

ニッセンケン品質評価センター/立石ラボがオープン/総合的な安全性支援

 ニッセンケン品質評価センターは1日、防災・安全評価試験のほか、抗菌・抗カビ性試験、傘の耐久・耐漏水・強度等の品質試験を行う「東京事業所立石ラボ」(東京都葛飾区立石)を開所した。とくに防災・安全評価試験は「震災以降、安全の見直し基準作りがスピードアップしている。総合的な安全性を提供するという観点から」業界の先駆けとして試験を開始した。

 防災基準の見直しが進められるなか、公的検査機関への防災・安全評価試験の要望が増えている。立石ラボでは、視認性評価測定を中心に、防災・安全評価試験ができる体制を整え、安全標識(JIS Z 9107)、再帰反射材(JIS Z9117)、避難誘導システム(JIS Z 9095)、高視認性衣服(EN 471)などの試験を行っている。

 「再帰反射ワッペン、道路標識、車関係の企業からの依頼や問い合わせも多い」とし、衣料に関連のある分野から試験業務を進める。

 また、抗菌・抗カビ性試験や傘の耐久・耐漏水・強度等の品質試験も実施し、「今後も生活雑貨の評価試験のメニューを拡大していく」という。同ラボには温湿度の調整ができる環境試験室を設け、将来的にはバイオハザードルーム開設も検討する。

 中国の上海事業所にも機能性試験機を導入し、9月から抗菌試験が可能になった。煙台事業所も試験依頼が順調に増えており、検品業務も増加している。また、インドネシアのジャカルタラボも10月から本格稼働を開始。芳香族アミンなど有害物質の分析試験も行っている。

ボーケン品質評価機構/信頼性支える試験法開発/コンサル機能の充実推進

 日本の繊維メーカーが付加価値機能素材・製品を開発するなか、その信頼性を確保するのに大きな役割を果たしているのがボーケン品質評価機構だ。様々な試験方法を開発すると同時に、最近ではコンサルティング機能の充実も積極的に進める。

 日本の繊維企業が新たな機能製品を開発した際、革新的な機能素材ほど、評価方法自体を開発する必要が生じる。ボーケンではこれまでも業界の要望に応え、様々な試験方法を“ボーケン法”として開発してきた。現在、花粉リリース試験、赤外線透過撮影防止性試験、ミラー機能カーテン性能試験、太陽光蓄熱保温性試験、吸湿発熱性試験、吸水速乾性試験、防汚性試験などでボーケン法が普及。実際の製品使用場面を再現することで高い信頼性を確保した試験方法として評価が高い。

 試験結果報告書をパソコンやタブレット、スマートフォンなどで簡単に検索・閲覧できる「ボーケンWEB」もボーケンの特徴。モノ作りの現場が世界中に広がるなか、その利便性から利用者が増加傾向だ。

 「単なる検査機関ではなく、モノ作りを支援する総合サービス機関を目指す」というのがボーケンの基本方針。それを象徴するのがアドバイス業務課の存在だろう。セミナーなど実施のほか、海外を含む工場の調査・改善提案などを行い、生産トラブル発生を未然に防ぐ取り組みを支援する。そのために紡績や染色、縫製など生産現場で実績を持つスタッフもそろう。検査機関からコンサルティング機能を持った総合サービス機関としてモノ作りを支援するボーケンの取り組みが進行中だ。