帝人/「高機能」大幅減益に/アラミドの収益低迷続く

2012年11月07日 (水曜日)

 帝人の高機能繊維・複合材料事業の収益力が悪化している。主力のアラミド繊維の不振が響き同事業の今期売上高は1200億円(21・6%減)、営業利益は5億円(93・1%減)と大幅な減収減益となる見通しだ。

 同事業の4~9月期は売上高528億円(26・3%減)、営業利益3億円(94%減)と大苦戦。旧帝人ファイバーから移管した産業資材用ポリエステルは自動車用、水処理膜用、衛材用が好調で1けた億円の黒字を確保したが、主力事業であるアラミド繊維が減益、炭素繊維も水面浮上できなかった。

 10~3月期も売上高は上期に比べて144億円増え、672億円となるものの、営業利益は上期比1億円減の2億円と上期以上に悪化する。上期比で産業資材用ポリエステルは増益を見込むものの、アラミド繊維は収益が悪化する見通し。販売量、販売価格は改善するものの。在庫調整に伴う生産減が収益に響くという。炭素繊維は前期並みの赤字が残る。

 同社は中期経営ビジョンで「ソリューション提供型ビジネス」への転換を目指した4つのポートフォリオ変革を軸とする成長戦略は推進する。しかし、グローバル経済環境の悪化による収益低下のため、緊急対策を実施する考え。

 同対策は事業・プロジェクトごとにメリハリを付けた資源投入、コスト削減の一層強化と前倒し実施に加え、一部素材事業における生産体制の見直しから成る。具体案は現在、検討中という。