劉佩芳の上海ファッション便り(134)クリエイティブ都市上海が熱い・デザイン力結集で(1)
2012年11月12日 (月曜日)
ファッションパワー結集
10月、クリエイティブ都市・上海にファッションの熱い波が押し寄せた。中国をはじめ世界各地からファッションの若きパワーが結集した。
上海では10月18日から26日にかけ、数多くの繊維関連の展示会・イベントが行われた。「上海ファッションウィーク」をはじめ、「インターテキスタイル上海」「チャイナニッティング」「ヤーンエキスポ」「Cinteテクテキスティル・チャイナ」「Kingpinsデニム」「中国時尚同盟」などだ。新天地や新国際展覧センター、上海マート、浦東嘉里大酒店、喜馬拉雅大酒店、復興公園などファッション・ランドマークが、それらの会場となった。
繊維関連イベントで最も多く目にするのがファッションショーだ。デザイナーによるコレクション発表のほか、大手ブランド、若者ブランド、地元ブランド、外来ブランドなどによるショー、ブランドの主催するイベントやアパレルブランド、テキスタイルブランド、繊維ブランド(中にはセルロース素材ブランド)の主催するショーとバラエティーに富んでいる。
上海では期間中、どれだけ多くのショーが行われたのか。その回数はイベント公式日程を見ても80は下らず、「日播」「イタリアの夜」「魅力・ウール」など団体、企業、商業組合などの主催するファッションイベントも続々催された。あるメディア関係者が中国版ツイッター「微博」で、「これでもかというほど見たし取材した」とつぶやいたが、決して誇張ではない。
多元化・個性化の流れ
モクセイの香りする上海ガニのおいしい季節10月に、まるで申し合わせたかのように業界の友人が上海に集まった。10数年目を迎えるインターテキスタイル上海に加え、今年10周年の上海ファッションウィークはこの時期、上海になくてはならない重要イベントとなり、それに伴った様々な展示会、出展企業、来場者、ゲスト、メディアが上海に集まってくる。
中国経済が持続的成長を遂げるなか、中間層消費者が拡大。これにより、よりハイレベルな生活ファッション関連商品に大きなニーズが生まれた。中国市場の成長は「単元から多元化」へ、「大衆化から個性化」へと変化し、「デザイナーズブランド」や「専門ブランド」がその多元化、個性化する流れに順応。多くの人が強烈なデザインテーストを求め、なじみのないファッション用語で自身の審美感や世界観を語ろうとする。鋭敏で活力あふれる若手デザイナーがオリジナルブランドで紳士服に席巻された市場への進出を狙い、「メードイン・チャイナ」イコール「安かろう悪かろう」という従来の印象を覆したいと考える。
劉佩芳(リウ・ペイファン)=ファッション・ジャーナリスト、上海服装行業協会発行の「上海服装月刊」誌編集長、同協会デザイナー専業委員会秘書長