寝装寝具特集/「涼感」や「健康」/多彩な企画提案

2012年11月29日 (木曜日)

 価格だけでなく、安心・安全や品質の良さを重視する消費者が増えているなか、寝具製造卸各社は、「涼感」「健康」をテーマとした機能性をはじめ、天然素材など、多彩な提案で顧客のニーズをとらえる。

大津毛織/「コットン・パフィ」

 コットン100%で4色をそろえ、各色に機能性を持たせた。「ブルー」はキシリトール入りで吸湿、「ベージュ」はシルクプロテイン入りで整肌、「ピンク」はスクワラン入りで美肌、「グリーン」はミント入りで涼感の各機能を付加した。キルトケット、タオルケット、敷パッドに展開する。

ロフテー/リアルプリント

 ロフテーは13春夏企画で、初の試みとなるリアルプリントによるピローケースを提案した。これまでは素材・機能重視の姿勢から、ヌーディーなテーストを意識した無地が基調だった。「ロフテー枕工房」でのリピーターが増えるなか、顧客によっては季節感やデザイン性を求める声も出てきており、これに応える形で開発した。

 月と宇宙空間を表現した「夢宇宙」、バラの花と花びらによる「甘いささやき」、金魚とヨーヨーの「夏祭り」など、表裏で異なる柄をリアルに表現し、楽しさを加えている。展示会での評価は上々だ。再度、現場の声を聞き、全体の調和をとりながら具体的な展開を検討する。

公大/「サラフ」

 快適な睡眠環境の構築を目指しトータル展開する「サラフ」。

 インビスタの「ダクロンQD」を使った快適機能寝具で、敷パッド、まくら、パジャマなど多様に商品化している。

 敷パッドは日本の技術から生まれた立体編みの快適寝具として発表した。

 この商品への消費者理解を深めるため、プロスキーヤー三浦雄一郎氏と鈴木公輔社長との眠りに関する対談をウェブで公開するなど広報活動を強化して売り出している。三浦氏は「サラフ」の開発パートナーであり、同社は来年5月のエベレスト登頂最高年齢(80歳)挑戦の公式スポンサーをしている。

昭和西川/「パーティ&プリント」

 昭和西川は13春夏シーズンから、オリジナルの新ライフスタイルブランド「パーティ&プリント」を本格展開する。アパレルやバッグなどを中心に若い女性からも人気のリバティプリント(リバティ アート ファブリックス)使いがポイントだ。

 寝具寝装品をはじめ、クッションやバッグ&ポーチ、タオル、ホームウエア、バブーシュ(室内履き)など、幅広く展開。アイテムによっては無地使いを取り入れながら、パーティ&プリントとして、無理なくトータルに楽しめるようにしている。

山甚物産/機能系イタリア寝具

 イタリアのエルゴグリーン社のベッドフレーム「エルゴメッド」と、GRZイタリア社のマットレスを組み合わせて提案する。エルゴメッドは、スプリング性に優れた3Dサスペンションを採用し、睡眠中の様々な姿勢をサポートする。マットレスは、低反発ウレタンと、高反発ウレタンの2層で身体を優しく包み込む。ウレタンの細胞の穴が通常より大きいオープンセル構造のため、通気性が良く蒸れを抑える。

モリリン・リビンググループ/堅調維持、さらに基盤固め

 モリリン・リビンググループの今上期は、引き続き堅調な推移を見せた。寝具関連の機能商材が安定した動きを見せたことに加えて、その機能(接触冷感タイプなど)をインテリアに置き換えた商材が好反応。この手の商材を提案するところが少なく、優位性を示した。具体的にはラッグやクッションなどで同タイプを打ち出した。

 今夏のクールビズ市場は全般的に昨年ほどの盛り上がりはなかったが、その中でリビンググループは結果を残した。これまで注力してきた取引先の絞り込みによる取り組み深耕で、顧客ニーズに適応した提案が可能となった成果と言える。販路別では通販、専門店チェーン、ホームセンターが好調だったが、量販店は精彩を欠いた。

 企画・営業・生産・物流といった総合力で、効率的に利益を積み上げたことも大きい。これらのうちとりわけ生産面では課題が残る。

 チャイナ・プラスワンとしては、インドネシアなどでの拠点作りを数年の間には構築していく考え。そのためには「相手国企業とのパートナーシップ」を重視して取り組む方針。

 秋冬物について防寒品が今月から羽毛中心にふとん、コタツ関連、カーペット関連が動き始めた。「マズマズの推移」とし、2013年2月期の通期業績は計画通りの着地を見込む。このほか今夏から試験的に下取りサービス開始しており、顧客への新たな提案として今後分析・検証していく。

伊藤忠ホームファッション/寝装寝具関連が好調推移

 伊藤忠ホームファッションの上期業績(4~9月)は、大幅増で計画を達成した。新規事業(紳士靴)が貢献したことに加え、既存では寝装寝具事業の健闘が目立った。ここ数年推進してきた基盤固めが成果を見せ、それが上期業績に反映した格好だ。

 寝装寝具事業では「マニフレックス」が前年クリアと堅調に推移したことに加え、寝具全般も総じて動きがあった。とりわけ羽毛関連が好調だった。

 羽毛市場はここにきて新たな動きがあり、上質志向傾向が出ている。またここ数年注力してきた同事業で扱うタオル関連商材もプラスオン要因となった。

 このほかカーテンなどインテリア事業は引き続き厳しい環境にあるものの、前期で過去の負の遺産を整理したことで「数字が読める状況」になった。

 まだ回復という段階ではないが、ほぼ前年並みの推移となった。アウトドア事業は安定成長期に入り、今後は新規顧客開拓が課題となる。

 同社は今期から本格的に新たなステージ入ったと言える。これまでは既存事業のホームファッション関連がほとんどを占めていたが、今ではその再構築にめどが付いた。加えてアウトドアなどの新規事業が成長してきた。今後は両者を主軸として「変化への対応」「新たな挑戦」を具現化し、より強靭で跳躍力のある企業体質を目指す。

龍宮/「カラフルパシーマ」登場

 寝具製造卸の龍宮(福岡県うきは市)は、主力商品の「パシーマ」で10月から「カラフルパシーマ」を発売した。

 パシーマは「医療用レベルまで純度を高めた」脱脂綿とガーゼで作られた寝具。肌掛けやシーツのほか、ピロケースなど様々なアイテムがそろう。脱脂綿やガーゼを作る段階から同社の工場で一貫生産している。「繊維が傷まないギリギリの水準」まで徹底的に脱脂するため、吸水性が非常に高く、洗濯すればするほど柔らかくなることなどから、クチコミで人気が広がり、年間の生産量はシーツ換算で10万枚を超える。冬も羽毛ふとんなどとの併用で快適な睡眠環境を構築できる。

 今年は、これまで白1色だったパシーマにピンクとブルーをベースにした商品が加わった。今回はベビー用のみ、10品種20アイテムの発売だが、消費者の要望によっては、大人用などにもアイテムを広げてゆく予定だ。

 パシーマの性能はそのままに「かわいくなかったパシーマがかわいくなった」と、梯恒三社長は今後の販売拡大に期待する。

イワタ/麻使い寝具充実

 寝具製造卸兼小売のイワタ(京都市中京区)は、オーダーメード寝具を扱う直営店を銀座と京都に持つ。体型や好みに細かく応じるオーダー商品のため、価格は高めだが、「30代などの若い層が全国から買いにくる」などファンも多く、売り上げの約2割を占める。残りはOEMが4割、自社ブランドが4割程度占める。

 天然系にも力を入れ、麻を用いた寝具シリーズ「ふすも」「しとね」「まくらふ」の3点をそろえる。本麻ちぢみを使った「ふすも」は麻布を縫い合わせた掛け寝具。敷寝具「しとね」は表地と詰め物に麻を100%使用した。「まくらふ」は枕を覆う麻製の布。生地、詰め物には日本やアジアで古くから栽培されてきた苧麻を100%使用した。

 奈良時代に聖武天皇が檜製の寝台に〝たたみ〟を置き、その上に「しとね」を敷き、合わせの「ふすま」をしつらえて眠っていたとされ、「ふすも」は体に掛ける寝具を指す。麻の特性を生かして夏の蒸れや火照りを抑え、快適な眠りを提案する。