環境新書/未来への挑戦
2012年12月10日 (月曜日)
ダイワボウノイ/防汚加工で洗剤使用量削減/バリエーション広がる「エコフレンド」
環境配慮素材の普及を目指す「エコフレンド」プロジェクトを推進するダイワボウノイ。商品ラインアップの拡充と進化が加速している。このほど独自のSR(ソイルリリース)加工で繊維評価技術協議会が認証する「SEK防汚加工マーク」を他社に先駆けて取得した。
エコフレンドのラインアップとして代表的なのがセルロース繊維の特徴を最大限引き出したSR素材「エコリリース」だ。セルロースが持つ親水性を極限まで引き出すことで皮脂汚れを容易に落とすことができる。このため洗濯時の洗剤使用量を削減でき、同社の計算では洗濯1回でCO2を約300グラム削減できるという。同等の機能を持つポリエステル・綿混素材「ミラクルリリース」も用意する。
機能の深化も進む。このほど、皮脂汚れだけでなく一般汚れによる黄ばみ・黒ずみに対するSR性も高めた「エコリリースW」「ミラクルリリースW」にバージョンアップ。こちらもSEK防汚加工マークを活用してインナーや寝装などに提案を進める。
もう一つ注目を集めているエコフレンド素材が、可染ポリプロピレン(PP)を活用した「ウォームプロPS」。PPは元々、燃焼時の有毒ガス発生がほとんどなく、生産時のCO2排出量も小さく、サーマルリサイクルが容易など環境負荷の小さい合繊と言われる。熱伝導率の低さによる保温性からウオームビズにも適する。
衣料用途で使用する際の弱点だった染色できない問題が解決されたことで様々なアイテムへの活用が可能になった。すでにアパレル・流通からの引き合いも旺盛だ。
ダイワボウレーヨン/再生可能なセルロース繊維/省エネ貢献する機能レーヨン
レーヨンに代表されるセルロース繊維は、地球上に存在する再生可能繊維としては最大の規模を誇る。カーボンニュートラルな繊維としての注目が一段と高まる。レーヨン短繊維専業メーカーであるダイワボウレーヨンでは、こうしたレーヨンの特徴を生かしながら、独自の練り込み技術によって省エネに貢献する様々な機能レーヨンを開発する。
レーヨンの主原料である木材パルプ。ダイワボウレーヨンではパルプメーカーと連携しながら、森林資源を考慮した原料調達を行っている。森林は、単に放置しているだけではかえって荒廃する。間伐など適正な手入れが重要だ。そしてレーヨンの原料である木材パルプは、この間伐材を有効活用したものだ。
一方、レーヨンは生産工程で適正な処理を行わなければ極めて環境負荷の大きい繊維でもある。この点でもダイワボウレーヨンの益田工場は最新の環境関連設備を整備し、溶剤の回収・再利用など環境負荷の低いモノ作りを心掛けてきた。2005年にはISO14001も取得する。
レーヨンの練り込み技術発達によって生み出された機能レーヨンも見逃せない。クールビズやウオームビズ、節電ビズを背景に機能繊維の原料として確固たる地位を築いた。UVカット機能の「スキュータム」、涼感機能レーヨン「クールモード」、消臭・pHコントロール機能の「パラモス」、抗菌防臭機能の「バクトフリー」など様々な機能レーヨンを提案する。
新内外綿/注目集まる竹繊維「バングロ」/「テンセル」使いも新商品
新内外綿が、京都のベンチャー企業であるETエイトク(京都市北区)、福井産地のバンブーグローバル(福井市)と共同開発した竹繊維「バングロ」への注目が高まってきた。竹のドライタッチや清涼感を生かした新しい環境配慮素材として引き合いが増加している。
バングロは、中国・四川省を中心に群生する慈竹をETエイトクが前処理・開繊し、新内外綿が紡績、バンブーグローバルを加えた3社で共同販売する新素材。検査機関の試験でバングロ50%混で抗菌性、消臭機能も確認した。
通常、竹繊維は繊維長が短く、可紡性が低い。風合いも硬い。しかし、慈竹は節間が長いため繊維長も長く、特殊な前処理によって柔らかな風合いのわたとなる。製織後に晒し加工すれば、さらに柔らかな風合いが可能だ。すでに寝装やカジュアル衣料用途で引き合いが寄せられている。三備産地の機業と連携したデニム開発も進んだ。
一方、得意の精製セルロース繊維「テンセル」使いも商品ラインアップが充実。テンセル・光触媒抗菌防臭再生ポリエステル混紡など機能性と環境配慮を両立したモノ作りが進む。テンセルのポリエステル付けスラブ糸「ゼブラ」もカラーバージョンを開発した。ポリエステルの付けスラブをカラー化することで、オーバーダイによる多色表現が可能だ。