東レ バイオナイロン/素材特性生かす/「環境配慮」に加え
2013年01月10日 (木曜日)
東レはバイオマス原料によるナイロン繊維について、環境配慮型という特徴を訴えるだけでなく、素材特性を生かした新素材としての展開を目指している。
同社は植物原料と化学原料による部分バイオナイロンとして、すでにナイロン610の生産技術を確立するほか、味の素との共同研究を行うナイロン56の開発も進める。
ナイロン610はナイロン6に近い融点、強度、伸度を持つほか、疎水性であり、湿潤時の物性変化が小さい特徴を持つ。すでに、歯ブラシ向けのモノフィラメントで販売するが、細繊度糸の製造技術も確立。高い寸法安定性を持つ特徴を生かし、2012年度中にスポーツ衣料用で販売を予定する。
ナイロン56はナイロン66に近い融点、強度、伸度、染色性、堅ろう度を持つうえ、綿に近い優れた吸放湿性がある。現在、衣料用3品種、産業用2品種の試作を完了し、各用途での評価を進める。
とくに、吸放湿性に優れる特徴を生かしたインナー向けのほか、ナイロン66並みの物性による資材向けの展開を目指し、重合基礎技術の確立と用途開拓に取り組む。
同社は部分バイオによるポリエステルを4月から発売するほか、完全バイオの開発も進めており、13年度中にはパイロットスケールでの実証を予定。ポリ乳酸、3GT繊維、溶融紡糸セルロース繊維「フォレッセ」なども含めたバイオ原料による繊維を基幹素材に育成する考えだ。