テイジン・アラミド/カーボン・ナノ繊維開発/熱・電気伝導が金属以上

2013年02月01日 (金曜日)

 帝人のアラミド製造子会社であるオランダのテイジン・アラミドはこのほど米国のライス大学(テキサス州ヒューストン市)と共同で、金属ワイヤーと同等の電気伝導性、グラファイト繊維に匹敵する熱伝導性(重量比)を持つカーボン・ナノチューブ(CNT)100%繊維を開発した。

 同繊維は優れた電気伝導性と熱伝導性に加えて、高い強度としなやかさを持ち、紡織用の繊維のように取り扱いが容易。繊維軸に沿ってCNTが規則正しく配列されており、パラ系アラミド繊維「トワロン」と同じ湿式液晶紡糸法により量産できるという。

 こうした特性を生かし、航空機や自動車のデータケーブル、電気通信ケーブルの軽量化につながる銅線代替として開発を進める。また、電子機器のアンテナや放熱・冷却用途にも期待。医療分野に向けても研究機関と評価を進めており、エレクトロニクス機能を衣料と一体化させた「ウェアラブル・エレクトロニクス」分野への応用も見込む。

 ライス大学は1990年代からCNT製造技術の開発、実用化に向けた研究に着手。帝人グループも2000年前半からCNT繊維の開発を進めており、両者は2010年に共同研究を開始している。

 同研究にはイスラエルのテクニオン―イスラエル工科大学、アメリカ空軍リサーチラボラトリーも参画。研究成果に関する論文は1月11日発行の米国有力科学雑誌「サイエンス」に掲載されている。