ダイワボウノイ/PPの可能性広がる/「ウォームプロPC」を披露
2013年02月20日 (水曜日)
ダイワボウノイは19~21日開催の「2014ダイワボウノイ機能素材展」で、このほど開発したポリプロピレン(PP)・セルロース系繊維複合素材「ウォームプロPC」を披露した。これまで業界の自主規制で製造販売が自粛されていたPP・セルロース混素材だが、昨年12月27日に自主規制が改正され、厳格な管理のもとでの製造販売が解禁された。ダイワボウノイは他社に先駆けて商品化し、衣料用繊維としてのPPの可能性を広げる。
PPと綿やレーヨンなどセルロース系繊維の複合素材は、PPの軽量性や保温性にセルロース系繊維のソフトな風合いや吸湿性を両立できる素材として早くから注目されていた。しかし、乾燥機などで加熱を続けた際、酸化発熱現象を誘発して自然発火する事故があったことから日本化学繊維協会が「衣料用・寝装用の製造はしない」との自主規制を行っていたため、日本では事実上製造禁止状態にあった。
ところが昨年に化繊協会の自主規制が改正され、厳格な管理のもとでのPP・セルロース混素材の製造が解禁された。これを受け、ダイワボウノイではPP短繊維を生産するダイワボウポリテックと連携し、他社に先駆けてウォームプロPCを開発した。
ウォームプロPCは、セルロース系繊維の湿潤時発熱機能とPPの保温性を生かした高い吸湿発熱・保温機能を持つほか、軽量性、吸汗速乾性、ソフトな風合いが特徴。安全性試験も万全を期しており、150℃の容器でPPとセルロース繊維を積層した試験布を連続168時間加熱する酸化発熱試験を実施し、発火の危険性がないことを確認した。
今回の開発に関してダイワボウノイの久保昌彦テクノステーション所長は「グループにPP原綿、紡績、染色加工までの技術があり、それを融合することで安全なPP・セルロース混素材を作ることができた」と強調。PP原綿の紡糸設計から混紡技術、さらに熱エネルギーを加えることから制御が難しいPPへの加工技術までをグループに持つことが開発につながった。
同社では、保温性を生かして、まずはインナー、寝装などに提案するほか、スポーツ・アウトドア用途にも期待する。これまで発表してきた可染PP「ウォームプロPS」など革新素材と合わせて、「ウォームプロ」シリーズとして衣料用繊維としてのPPの可能性拡大に取り組む。
展示会ではこのほか、繊維評価技術協議会の「SEK防汚加工マーク」を取得した「エコリリースW」「ミラクルリリースW」、悪臭を芳香に転換する新発想消臭加工「デオパワーTF」などを紹介。デオパワーTFは、従来の汗臭と加齢臭に加えて、タバコ臭を芳香に転換するタイプもラインアップに加えた。
26日から3月1日まで日本橋T&Dビル(東京都中央区)でも機能素材展を開催し、これら革新素材を紹介する。