トンボ/鳥取県に学生服の新工場/「トンボ倉吉工房」設立
2013年04月09日 (火曜日)
学生服製造大手のトンボ(岡山市)は、鳥取県倉吉市に新工場「トンボ倉吉工房」を立ち上げる。工場設立に先立ち8日、鳥取県の知事公邸で、近藤知之社長と平井伸治鳥取県知事、石田耕太郎倉吉市長は、同社の倉吉市進出にかかる協定書の調印式を行い、握手を交わした。
新工場は同社が1億2000万円を投資するほか、倉吉市が1億円投入し、西倉吉工業団地に土地と、トンボの希望に沿ったオーダーメードの工場建屋(1050平方㍍)を整備し、リースの形で提供する。鳥取県としては人件費(1人当たり20%の助成率)や人材の研修制度(同60万円)にかかる費用を負担する。
2014年4月に従業員の雇用を開始し、7月から操業する予定。約50人の雇用を見込み、ブレザーの生産を中心に、14年に年間2万点、15年に4万点、16年に6万点の生産量を計画する。
トンボにとって倉吉工房は国内の生産拠点としては8つ目。昨年9月に体育衣料や介護・看護衣料を生産する美咲工場(岡山県久米郡)にカッティングセンターを新築、縫製ラインを増やすなど、生産を増強してきた。学生服は今入学商戦、モデルチェンジの獲得校数が約100校と前期の約70校に比べ増えており、「国内では高齢化によって縫製工場がどんどん廃業しており、生産量の確保が課題になっていた」(近藤社長)ことに加え、「入学シーズンでの予想外の追加生産に対応する」ため、新工場の設立を決めた。
さらに自然災害、原発のリスクが少ない地域であることや、人員確保が可能、現在稼動中の地方拠点と同賃金水準地域だったことから倉吉市を選定。行政の方針として誘致に積極的であるとともに、玉野本社工場(岡山県玉野市)や物流センターからアクセスが良いことも選定の理由に挙げた。
調印式で、近藤社長は「新しい会社、製品作りに励み、鳥取県、倉吉市に役立てるよう全力を尽くす」と強調。石田市長は「オーダーメードによる工場を貸すという形の誘致は初めての試み」であり、「産業振興によって雇用に貢献してもらうことを期待している」と述べた。
また、平井知事は、工場進出という「重い選択をしてもらい、県として事業が成功していくように全力を尽くしたい」と話した。
調印式と同時に、5月に鳥取県で開かれる第64回全国植樹祭に対し、トンボから県へ協賛金50万円の贈呈式も開かれた。
トンボ/今期、増収増益見通し/MC校の獲得、約110校
トンボ(岡山市)の近藤知之社長は、今期(6月期)についてモデルチェンジ(MC)校の獲得が全体の約4割に当たる約110校となり、好調なことから、増収増益になる見通しを示した。
2012年7月から3月までの累計では売上高で前期比3%強の増収で推移。主力の学生衣料が、首都圏や大阪でのMCの獲得が進んだことによって2%増収。スポーツ衣料も「ヨネックス」ブランドが100校以上に採用が決まるなどで5%増に、ヘルスケア事業も首都圏を中心に主力の介護職員向けユニフォームとリース向けの患者衣の販売を伸ばしたことで10%弱伸ばした。
来入学商戦については、生産量の拡大とともに、縫製スペースの確保が課題になりつつあり、繁忙期での「最後のフォローが生命線」との考えから、鳥取県に新工場「倉吉工房」を設立、美咲工場(岡山県久米郡)にもCAMを1台増設し、4台体制にする。