進化するアパレル向けICT/タブレット端末で低コスト、簡易に
2013年04月25日 (木曜日)
アパレル業界でICT(情報通信技術)の活用事例が増えている。この分野をけん引してきたRFID(無線)タグの価格が下がったことに加え、昨年から使用するUHF帯の周波数が世界標準とされる920MHz(メガヘルツ)に切り替わり使用しやすい環境となった。さらにスマートフォンなどタブレット端末と組み合わせたシステムも登場、初期投資を抑えながら業務を効率化できるとして注目されている。
ビームスは2012年10月、ファミリー向け業態「ビーミングライフストア」の本部と新店舗で富士通と共同開発したシステムを導入した。洋服や雑貨の商品にRFIDタグを取り付け、入出荷・棚卸登録、売上登録までの業務をすべて管理できる。タグの情報はリーダ・ライタで読み取るが、箱や陳列された棚のブロック、ハンガーラックごと、あるいは清算時のカゴにかざして一括で読み取れるため、従業員の業務効率を大幅に向上。POSシステムとRFIDリーダ・ライタを連携させることで精算もスピーディーだ。
ビームスではファミリー世代に向けた新業態開始に当たり、顧客が快適に買い物できる環境整備とサービス向上を重視、共同開発に踏み切った。一方、富士通は11年、アパレル業界向けのUHF帯RFID付きブランドタグをグループ会社の富士通フロンテック、副資材大手のテンタックと共同開発。タグの基幹業務システムは、ファッション専門店に特化した「グロービアスマート専門店 パステルプラス」。店舗業務に特化したサポート体制を持っていることも強みだ。
RFIDの技術は新しい話題ではない。2005年には経済産業省が日本版フューチャーストア・プロジェクト「未来型店舗サービス実現のための電子タグ実証実験」として、導入に前向きな小売業(イオン、クイーンズ伊勢丹、ファミリーマート、丸井・フランドル、三越)と共同実験を行っている。
しかし普及には壁があった。課題の筆頭はタグの単価。実証実験当時の単価は100円前後とバーコードに比べ格段に高い。さらに電波が強すぎて、不要なデータまで読み込んでしまうなどの不具合も指摘されていた。
小売業全体でタグが普及したこともあり、単価は低下傾向にある。また、UHF帯の周波数が米国をはじめ多くの国で使用されている920MHzに切り替わったことも今後の普及を促進すると考えられている。
とはいえ、システム開発や初期投資は中小企業には難しい。そんななかで注目されているのがNFC(近距離無線通信技術)とタブレット端末によるソリューションだ。アパレル副資材製造・販売のナクシス(京都市)の東京オフィスのショールーム「RFIDモデリングラボ」(渋谷区)では、RFIDとNFCの双方を紹介している。
NFCは10センチ以内の短距離で情報通信を行う。タブレット端末にはNFC対応機能を標準搭載している機種が登場しており、これを利用すればリーダは不要。ラボでは服にタグを取り付け、利便性を体験できる。
NFCは国内ではまだ認知度が低く、携帯電話のキャリアも積極的に訴求していないのが実情だ。アパレル業界がNFCのソリューションを享受できるかは「今後の端末の普及にかかっている」と同社は話す。




