東洋紡タイヤコード撤退/海外生産と輸入響く/人員は他事業で吸収

2013年05月13日 (月曜日)

 東洋紡は9日、ポリエステルタイヤコードからの撤退を発表した(一部既報)。今年9月で敦賀事業所での生産を休止し、12月に販売も終える。同社はポリエステルタイヤコード最大手であり、同事業は重点を置くスペシャルティ事業の一つにも位置づけていた。

 同社のポリエステルタイヤコード事業は1970年に合弁会社、東洋紡ペットコードを設立し生産販売を開始、88年に本体に吸収合併、現在に至る。年間売り上げ規模は約100億円。原糸の年産能力は3万3000トン。敦賀事業所のポリエステル原糸、加工品(ディップ反)生産にかかわる人員は約80人だが、撤退後はハイブリッド型ポリエステルフィルム新ラインなど「他事業で吸収する」(坂元龍三社長)。

 同社の撤退はポリエステルタイヤコード事業の厳しさを物語る。タイヤメーカーの海外生産シフトや輸入品との競合のなかで、最大手の同社もこの数年、収支トントンか赤字が続いており「12年度は円高の影響もあり、赤字幅を大きく拡大した」と言う。

 日本自動車タイヤ協会によると、2012年のタイヤ生産量は前年比4・4%減の1億5919万9000本で、タイヤ輸入量は5%増の2657万8424本、ポリエステルタイヤコード消費量は7・1%減の4万2577トン。

 また、財務省の通関統計によると、ポリエステルタイヤコード織物輸入量は10年前の02年が8883トンであったが、12年は2万213トン(前年比は5・7%減)と2・2倍にまで増加している。