合繊素材・オンリーワンで活路(5) 東レ 「サマーシールド」/実感できる傘地でヒット

2013年05月31日 (金曜日)

 日傘売り場などで、東レの「サマーシールド」のタグが付いた商品を見かける機会が増えるかもしれない。サマーシールドは、99・99%以上の遮光効果、99%以上のUV遮蔽率、生地で4℃以上の遮熱効果のある傘地で、販売量が伸びている。

 きっかけは、2010年6月の東レの株主総会。株主用の土産にリサイクル素材を使った軽量折り畳み傘を配った。その傘が、総会に来ていた洋傘メーカーのオーロラ(東京都千代田区)の社長の目に留まった。オーロラ側から東レにともに開発できないかとアプローチがあり、サマーシールドの日傘開発へとつながった。

 11年8月半ば、東京や大阪の百貨店で、オーロラがサマーシールドを使って製造した日傘の試験販売を行った。バーゲンセール時期と重なり、タイミング的に恵まれないなか、1万500円、1万2600円の定価で販売したにもかかわらず、5000本を完売、話題になった。翌12夏は、有名ブランドのアイテムとしても展開し、4万本を完売した。シーズン途中で商品が売り切れ、仙台から東京の百貨店へわざわざ買いに来た購買者もいたという。

 店頭の売り方も工夫する。遮熱性能を体感できる実験器具を店頭に入れ、ライトと手の間にサマーシールドの生地を差し込むことで、「遮熱効果を分かりやすく実感でき、購買を誘う仕組み」(柴司スポーツ・衣料資材事業部長)もヒット要因の一つになった。

 サマーシールドの優れた遮光性、遮熱性、UV遮蔽性は、生地に遮光フィルムと遮熱フィルムをラミネートした三層構造にある。上から一層目はフルダルポリエステル使いの織物、二層目は酸化チタンを高含有する白色フィルムを採用。一、二層はUV遮蔽、遮光性に優れる。三層目はカーボンブラックを含有する黒色フィルムで高い遮光性と遮熱性を発揮する。

 日傘は美白にこだわる女性が使うイメージがあるが、市場では男性用もじわじわと増えてきている。13夏は8万本分の傘地をそろえ、婦人用だけでなく、紳士用も展開する。日傘全品には、サマーシールドのタグを付ける。帽子用などへも展開し、アイテム拡大を図る。サマーシールドの日傘内に電池駆動式の扇風機が付いたゴルフ用日傘の試作品をオーロラが制作し、次シーズンからの展開を目指す。