ひと/帝人フロンティアの東京衣料本部長に就任した・藤本清貴氏/世界で活躍できる人材育成を
2013年06月14日 (金曜日)
4月に帝人フロンティア東京衣料本部長に就任。社長を務めたテイジン・フロンティア〈タイランド〉を経て着任した。
旧日商岩井へ入社して以来33年。その半分が海外駐在だ。入社して配属されたのは輸出織物部。「背が高いから、海外のバイヤーにも負けないだろう」と、上司から言われた配属理由を笑いながら振り返る。ただ、そのスラリとした長身を考えると、あながち冗談でもなさそうだ。入社3年目で赴いた海外出張の行き先はベイルート。到着した空港は銃を持った兵士ばかりだった。そんな環境に驚きつつ、1カ月半の滞在で合繊のスーティング素材を売り込んだ。
自ら手を挙げ、バグダッド駐在員事務所で初めて海外赴任を経験した。85年から3年を過ごした後に日本へ帰国すると、プラザ合意後の円高で、輸出ビジネスが縮小し、製品輸入の部門に配属された。
とくに「楽しかった」と振り返るのが、他商社に先駆けてベトナム生産を開拓した経験。工場へのミシン貸与、技術指導など、生産ラインの構築に従事した。なかには30~40人程度の規模から2000人が働く大工場に育った会社もあるとか。
製品ビジネスのノウハウを学んだあと、再び自ら申告して赴任したのは米国ロサンゼルス。バイヤーとして仕入れるアジアでの経験から、今度は“売り込む”方になった。アセアン生地の現地アパレルへの販売に従事すると共に、帝人グループのスポーツ用機能素材も売り込んだ。
「サービスがよければ、旗の色は何色でもいい」。米国市場の公平さや懐の深さに感銘を受けたが、それだけに競争も激しい。品質、納期、価格、サービスをいかにしてアピールして売り込むかに日々、取り組んだ。
海外駐在経験を通して「日本的な価値観や習慣はときとして役に立たない」と実感を語る。日本向けに加え、アセアンや欧米市場を視野に三国間貿易を拡大していくなかでは、「グローバルに活躍できる人材育成が必要」と強調する。
趣味は映画観賞と読書、ハードボイルドがとくに好きで、ジョン・グリシャム著の法廷小説を好んで読むとか。「英語で書かれ、しかもペーパーバックで読むのが、しっくりくる」と、にっこり。
ふじもと・きよたか
1980年同志社大法卒、日商岩井入社。85年イラクバグダッド駐在員事務所、95年日商岩井米国会社出向ロサンゼルス店、2003年NI帝人商事繊維貿易部次長、08年NI帝人商事〈タイランド〉社長、13年4月から帝人フロンティア東京衣料本部長に就く。趣味は映画観賞、読書。