片山商店など/新たな自動整経機を開発/価格半分、生産能力2倍

2013年06月17日 (月曜日)

 播州織産地の繊維機械商社、片山商店と兵庫県立工業技術センター繊維工業技術支援センター、播州織工業協同組合は13日、新たな全自動部分整経機「ワープ・マックス(仮称)」を開発したと発表した。同社らによると、従来機と比べて設備投資費と設置スペースが2分の1、生産能力は2倍になる。

 織物産地では多品種小ロット化が顕著になっており、価格、納期要求も厳しさを増す。こうした市場ニーズに対応するには経糸を並べる整経工程がネックになっていた。同社らによると、現在市販されている全自動部分整経機は多品種小ロットに見合う自動化が十分でなく、複雑な機構で高価なため普及が進んでいない。この改善に向けて開発したのが今回の設備だ。

 独自技術によって、巻き糸供給、糸通し、整経という各工程の作業時間を大幅に短縮した。従来機ではこの3工程に約12時間を要するが、今回の技術では5~6時間になるという。伴って、1日に整経できる本数は従来機が1~2だったのに対し、2~4本になる。1セット当たりの価格は従来機が約7000万円なのに対し、今回の開発機は半値の3500万円。

 独自技術とは「圧縮空気による糸つなぎ技術を用いた自動部分整経機の研究開発」。この開発は近畿経済産業局の「地域イノベーション創出研究開発事業」として進められたもので、総括事業代表者が片山商店の片山象三社長、事業管理法人が新産業創造研究機構となっている。

 片山商店と村田機械が共同で開発し、2005年に「第1回ものづくり日本大賞」で最優秀の「内閣総理大臣賞」を受賞したのが、多色の糸を1本につなぐ「アレンジワインダー」。片山社長によると、今回開発したワープ・マックスはアレンジワインダーとの併用によって効果をより発揮するという。

 現段階で一応の完成を見たが、今後も研究、改良を続けることから実機販売は2年後を予定する。片山社長は「播州だけでなく、全国の織物産地に導入していただき、地域産業の活性化、国際競争力の強化につなげたい」としている。