夏季総合【2】反転攻勢 各社の重点戦略を探る/カケン/構造変化に迅速対応/4月にGC室設ける

2013年07月23日 (火曜日)

 カケンテストセンターは1948年に設立された。「商業動態統計を見ると、小売業に対する卸の比率は2002年が2・38。12年には0・86に減った」と長尾梅太郎理事長。国内の卸ビジネスが衰退し、小売りへの働き掛けが加速したことを示す。

 こうした構造変化は、検査機関の業務にも影響を与えてきた。設立後の20年ほどは化合繊素材の輸出検査や内需検査を行ったが、70年代にはアパレル・テキスタイル関連試験業務、80年代には輸入衣料品などの検査・検品業務を拡大、88年から韓国、香港にも拠点を設けて国際化に取り組んだ。

 「85年のプラザ合意で円高基調となり、92年の鄧小平の南巡講和で中国の改革開放が進んだ。繊維製品の世界貿易は91年比で11年のテキスタイルは2・69倍、アパレルは3・52倍に達した。増えるパイの中でより消費者に近いところへシフトが必要」と考える。

 中国では94年の上海科懇検験服務を皮切りに、青島、大連、寧波、無錫に拠点を設けた。東南アジアでは台湾、タイ、ベトナム、インドネシアでも展開する。国内ではアパレルの多い東京の原宿、目黒のほか、堀留にもラボを開設して、顧客ニーズに迅速対応する。

 「中国は人件費アップ、アセアンも賃金は上昇する。20年先はどうなるか。消費地に近い場所での生産になる。海外提携機関との連携を強化することも必要」と語る。4月には目黒ラボに「グローバルコミュニケーション戦略室」を設置した。海外情報を集約するためだ。

 もともと輸出用繊維製品の品質検査機関だったボーケン品質評価機構は、この20年間で検査から試験へと業務内容を大きく転換してきた。堀場勇人理事長は「目指すはグローバル総合試験機関。繊維製品の試験だけでなく化学分析や生活雑貨分野の試験対応も拡充していく」と話す。