短気は損気・継続は力なり(4)旭化成せんい「スマッシュ」(中)独自品に位置づけ変わる

2013年08月13日 (火曜日)

 開発以来、伸び悩んでいた旭化成せんいの熱成型ポリエステルスパンボンド不織布(SB)「スマッシュ」に一つの転機が訪れる。同社のSBで独自品とは何か、という議論が始まったからだ。それが、ほかの差別化ポリステルSBと同列であったスマッシュの位置づけを大きく変えることになる。

 当時、同社はポリエステルSMS(SBとメルトブロー不織布との複合不織布)「プレシゼ」を開発、独自不織布への強化を打ち出していた。

 「世界的に、ほかにないものがまだあるはず」との号令がかかる。そこから選び出されたのがスマッシュとナイロンSBだった。それまでスマッシュは薬剤容器に続く用途を見つけられずにいた。このため、専任担当もなくなり、多くの差別化SBの一つに格下げされたと言ってよいだろう。

 それが独自SBとして重点製品に生まれ変わる。「独自品をグローバルに展開することでSBを強化する戦略」(丸尾弘スパンボンド資材営業部長)が敷かれ、スマッシュのプロモーションを一新。当時のスパンボンド営業部に横断のプロジェクト長が置かれる。それが現・スパンボンド資材営業部兼スパンボンド衛生材料営業部の黒田幸政生産・製品開発担当総括だった。

 責任者を置くことで、用途開拓の取り組みを改めて活発化する。そのなかで目を向けたのが、海外とこれまでの生活資材中心から産業資材への展開だった。ともに「スマッシュにとって未開の地」(黒田幸政担当総括)。そのために、海外での展示会にも出展し、スマッシュも独自SBとして重点的にPRする。

 ドイツ・フランクフルトで2年に1回開催される産業用繊維・不織布の国際見本市「テクテキスタイル」もその一つになる。ホームページも一新し、スマッシュ専用サイトを日、英、中の3カ国語で立ち上げた。

 こうした地道な施策が実を結ぶことになる。コーヒーフィルターでの展開だ。日本国内で先行していた用途だが、イタリアの機械メーカーの目に留まり、スマッシュによるコーヒーフィルターの米国展開につながる。

 これがスマッシュにとって第2の転機となった。国内外を含めてコーヒーフィルターなど食品関係は現在、全体の25%と薬剤容器に次ぐ用途にまで成長を遂げている。

 こうした未開の地の一つ、海外展開において成果を上げる一方、産業資材の開拓も並行して行われていた。それが形となって表れたのが、2010年。フィルター製造大手との共同による「デコブ」の開発だ。