帝人/国産アラミドで明暗/メタ好調もパラ苦戦

2013年08月16日 (金曜日)

 帝人の国産アラミド繊維が明暗を分けている。同社はパラ系アラミド繊維「テクノーラ」、メタ系アラミド繊維「コーネックス」を国内生産するが、2013年度はコーネックスの販売量が回復基調にある一方、テクノーラは販売減で推移する。

 同社はオランダ子会社のテイジン・アラミドでパラ系アラミド繊維「トワロン」を生産する一方、国内でもテクノーラ、コーネックスという2種のアラミド繊維を製造する。

 耐熱性・難燃性が特徴のコーネックスは為替相場の円安化を背景に「好調な欧州輸出」(高機能繊維事業本部の籔谷典弘執行役員営業部門長)が、全体をけん引している。

 コーネックスは国内では消防服などの防護衣料やろ過布(フィルターバグ)、輸出は欧米、中国向けでフィルターバグを主力とする。先ごろ、タイでの新工場建設も発表している。欧州輸出の好調は、自動車のターボチャージャーホース向けによるもの。これらを背景にコーネックス全体としてもフル生産に戻している。

 一方、高強力、高弾性が特徴のテクノーラは、国内のゴム資材などが堅調も、コーネックスとは逆に輸出が苦戦。とくに「海底油田用ロープなどが落ち込み、テクノーラ全体として計画比5~10%減」となっている。

PPS繊維に再参入検討

 帝人はポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維への再参入を検討する。

 同社は今年2月、韓国のSKケミカルとの合弁により、韓国でPPS樹脂とコンパウンドの製造販売会社の設立を発表しているが、この樹脂を活用した繊維の事業化を視野に入れる。

 コーネックスをフィルターバグ向けに投入するが、同じく耐熱性が特徴のPPS繊維が加わればフィルターバグ向けの事業展開が広がることになる。

 帝人は以前、PPS繊維を製造販売しており、今回、事業化すれば再参入となる。