ノンウーブン/不織布の世界
2001年04月06日 (金曜日)
綿不織布の需要急増/当たり前の天然繊維がセールス・ポイント
綿100%スパンレース不織布(SL)の需要が急増している。他の化合繊を原料とする短繊維不織布に比べ高コストというハンデを克服、ユニチカの「コットエース」、日清紡の「オイコス」とも増設を決めた。綿製品輸入浸透率が九〇%を超えるなど国内の綿紡織業界の苦戦が続くが、コットンでもすべてが縮小均衡を歩んでいるわけではない。
タレントの飯島直子が出演するCMで有名なユニ・チャームの女性用ナプキン「ソフィボディフィット」、
同じく村上里佳子を起用した小林製薬のパンティーライナー「サラサーティコットン100」。
両商品とも肌に優しい天然コットンを全面に打ち出しす。
つまり、両社とも綿紡績が当たり前過ぎて訴求ポイントにしない、天然繊維というコットン最大の強みをセールスポイントにする。
両商品の表面材に使用するのが綿100%SLだ。綿100%SLはコットンをカードに通した後、高圧水流で繊維を絡合し不織布化するもの。世界でユニチカ、日清紡、丸三産業の三社しか生産していない。
三社よりも歴史があり、規模も大きいダイワボウやクラレなど大手SLメーカーも綿100%は手掛けていない。それには理由がある。綿100%不織布の良さは同業他社も認めるが、綿100%不織布は生産スピードが遅い上、晒し綿を使用するか、後晒しが必要となる。さらに検反に人手も掛かるため、化合繊使いのスパンレース不織布に比べ高価格という弱点をもつ。一般的にはレーヨン・ポリエステル混に比べれば二倍近い生産コストとも言われる。
そのハンデを持ちながら綿不織布はナプキン、パンティライナーという新市場を構築した。その他ではおしぼりやワイパー類、さらにガーゼなど衛生材料、産業資材用でも着実に需要を広げる。
こうした動きは健康快適性や環境問題に対する意識の高まりから、天然繊維であり、生分解性をもつコットンへの引き合いが強まっていると言える。
需要増に対応し、両社は増設を決めた。ユニチカは〇二年五月をめどに倍増設を行い年産五〇〇〇トンに、日清紡も同じく倍増の同二千五百トンに増強を決めた。
ただ、ユニチカは事業化八年目、日清紡は十年目に当たる。これまでの道のりは決して楽なものではなかったが、不織布の基本である地道な商品開発と用途開拓が実を結んだ。同時にコットンでも国産品で生きる方策があることも証明した点でもっと評価されてよい。