特集・スクールユニフォーム/素材メーカー/高まる制服価値の追求に一役
2013年09月30日 (月曜日)
少子化の影響で、学校がオリジナルの制服を求める傾向は以前から強かったが、最近では「学校生活から、いいものを着る習慣を身に着けてほしい」といった教育姿勢を見せる学校もあり、制服の価値を見直す機運が改めて高まってきた。制服の価値を高めるのに貢献するのが“素材”。世界でもトップレベルの開発力を持つ日本の素材メーカーだけに、幅広い素材が集う。
東洋紡テクノウール/評価を得た「プロタック」/細番手でも耐久性保持
東洋紡テクノウールは2014年4月入学に向けたスクールユニフォーム商戦で、品位と機能を兼ね備えた「プロタック」が好評という。
プロタックは、糸の外側をウールが覆う長短複合の特殊紡績糸使い。上品な光沢で、軽くソフトな風合いを持つ。番手は細いが、学生服に欠かせない糸の強度と耐久性を保持し、家庭洗濯ができることも特徴だ。
紳士服はクールビズなどで細番手化したが、学生服分野は昔ながらの生地であった。薄地で、かつ耐久性のあるプロタックが学生服業界に受け入れられたのはここ3年くらいで、「ようやくプロタックが認めてもらえる時代になった」と担当者は語る。
かつて学校の統廃合による大型モデルチェンジの時代があった。しかし、最近はマイナーチェンジが主体で、「デザインは変えず、生地を変えるというモデルチェンジ」が進められている。プロタックはそうしたニーズにも適している。
また、同社は軽量・ストレッチで防透け機能を持つ「テクタス」のサマーバージョンも夏向けに展開する。
ニッケ/商品開発力の奥行き訴求/制服の価値向上に貢献
ニッケの14春入学商戦は、モデルチェンジ校が今入学商戦並みに推移していることから、大きな変化はないものの、来年4月には消費増税の可能性があり、早期備蓄の傾向が一段と強まるなかで安定供給に努めている。
依然として制服の“お下がり”は根強いものの、「今までとは違う制服の価値を打ち出そうとする機運も高まっている」(衣料繊維事業本部の金田至保販売第1部長)ことから、10月16~18日に開くスクール分野の総合展では、素材開発を中心とした構成で最新素材を披露する。
特許出願中の新技術で紡績したウールと長繊維の交撚糸「ニッケ長良川」は、今年から学生服素材としても提案。ウール80%・ポリエステル20%混60双糸使いの織物では、ウールの混率が80%と高いにもかかわらず、樹脂加工などを用いずに家庭洗濯を可能にしたことなどが評価された。
ニッケ長良川は、羊毛の繊維束の内部に長繊維がらせん状に配されている紡績糸。このような構造の紡績糸は従来なかった。同社は、ウールに対する新たな需要を創出する可能性を同糸が秘めているとして、糸種の多様化と用途開発を進める。
これまでメンズやレディース向けに開発してきた素材の、学生服向けへの置き換えも進めている。展示会では、パリの生地見本市「プルミエール・ヴィジョン」で展示したウールの最高峰素材「ゴールデンMAF」や、厳選したニュージランド産ウール使いの「ジーキュー」など、「商品開発力の奥行きを見てもらう」ことで、新たな市場開拓につなげる。
三甲テキスタイル/セットアップで最適提案/機能素材も分かりやすく
三甲テキスタイルは2015年入学商戦に向け、セットアップに最適な無地・柄物服地のコーディネートを提案する。変わり織り組織やサキソニーなどもそろえた。機能素材ではニーズが高まる涼感・温感など調温素材を充実。10月に開催する展示会では実験などデモンストレーションも交えて機能を分かりやすく紹介する。
セットアップ提案の軸となるのは原料にこだわった無地素材「リソルサ」。冬の無地スーツに合わせた夏スカート地の提案などを行う。また変わり織り組織の無地トップスに得意とする先染め柄物のボトムス・スカートといった組み合わせも紹介。定番的なサージなどのほか、サキソニーの無地トップスに柄物ボトムス・スカートといった組み合わせも用意する。セットアップで最適な素材の組み合わせを提案することで全アイテムに対するトータルな素材提案が狙いだ。
機能素材では温感素材「冬の温感」、涼感素材「夏の涼感」など調温機能素材を重点提案するほか、シャワー洗濯対応の「ベルウオッシュシャワー」、ダイヤモンド触媒抗菌消臭機能素材「マルチダイヤモンド」などを提案する。得意の柄物も新柄を多数投入する予定だ。
これら商品は10月に大阪、名古屋、東京で開催するスクール素材展示会で披露する。大阪展は10月3、4日に牧村本町ビル(大阪市中央区)、名古屋店は10月10、11日に名古屋国際センタービル(名古屋市中村区)、東京展は10月17、18日にサンライズビル(東京都中央区)でそれぞれ開く。
東亜紡織/夏用機能素材を拡充/店頭商品向け提案も強化
東亜紡織は夏用機能素材の提案を拡充している。2015年入学商戦に向けても特殊機能糸による涼感素材「レイファインクールα」が好評だ。また、ジャージ素材や透湿防止生地など、従来の学生服地になかった商品も積極的に投入する。
学校での夏物着用期間が長引く傾向が強まるなか、夏用機能素材への引き合いが増えている。
東亜紡織はこのほど調温機能素材「レイファイン」シリーズの新バーションとして透け防止機能とUVカット機能を付与したレイファインクールαを発表。すでに引き合いが寄せられるなど好評だ。
また、ウールジャージ「エクスパンジャー」も注目されるジャージ製ブレザー地として引き合いが寄せられている。スクール素材として珍しい透湿防水加工素材「クロスファインガード」も軽量コート地として注目されるなど、新規商品の開発と提案が進む。抗菌防臭加工素材として実績のある「まるTiミラ」も、部屋干し臭の原因菌であるモラクセラ菌にまで機能対象菌種を拡大することで、注目される部屋干し臭対策機能を打ち出す。
夏物機能素材の拡充に加えて、店頭商品用素材の提案も強化。機能をウオッシャブルに絞り込むことで値ごろ感を実現した女子スカート地ですでに好評を得た。引き続き値ごろ感を維持しながらポイントを絞った機能性を付与した素材で定番素材が主流の店頭商品市場でのシェア拡大を目指す。
東レ/「トレラーナ」浸透進む/総合展で素材力を見せる
東レ機能製品事業部は、スクールユニフォーム事業の2014年春入学商戦に向けた素材供給について「昨年と同じくらいのペースで動いてきた」と指摘する。昨年に続き今年も定番商品を中心にアパレルの前倒し生産が続いているという。
今シーズンは昨年から本格的に販売を開始したポリエステル・ウール混の新素材「トレラーナ」が順調に浸透、販売に結び付いてきた。トレラーナはストレッチや軽量、クーリング、ウオッシャブルといった合成繊維の機能とウールの風合い、両方の良さを併せ持つ。
例えばウールタッチで2ウエーストレッチという素材も供給できることから、女子物のブレザータイプやスーツ向けでの採用が増えている。
毎年恒例の同部総合展は、東京で10月17、18の2日間、大阪で同24、25の2日間開く。今回の展示会は「UNIFORMENERGYユニフォームエナジー 素材のチカラが、未来を創る」をテーマとする。
東レのユニフォーム素材の開発、生産は基本的に国内で行い、リピート性と安定生産を確保している。
同社が「環境」「安全・防災」「健康」をテーマに人々の生活・命を守ることを目的として開発してきたユニフォーム素材を披露する。今回も素材の機能を分かりやすく映像で説明するなど見せ方にこだわっている。
シキボウ/部屋干し臭対応好評/防汚加工も積極投入
スクールシャツ地を主力とするシキボウは、これまで重点的に提案してきた部屋干し臭対応の速乾シャツ地「ルームドライ」が好評だ。得意の機能加工技術を生かし、今後は防汚加工もスクールシャツ地分野に積極的に投入する。
ルームドライは部屋干し対応の抗菌防臭速乾シャツ地。
部屋干し臭の原因菌であるモラクセラ菌の繁殖を抑えることも確認している。大手学生服アパレルが採用を決めるなど、その評価は年々高まってきた。
こうした流れを受け、今後も機能素材を重点的にスクールシャツ・ブラウス地に投入する。その一つが新たに開発した防汚加工素材「ソイルフリー」。繊維製品の機能性を認証する第三者機関、繊維評価技術協議会の「SEK防汚加工マーク」も取得した。
マークの信頼的をアピールすることでスクールシャツ分野での普及を進める考えだ。
また、シャツだけでなく学校体育服にも参入する。
すでに通学用ポロシャツなどで実績があり、ニット製品を得意とする同社。学校体育服でも得意の消臭加工や部屋干し臭防止加工、防汚加工など機能素材を前面に打ち出し、学生服アパレルや学校体育服専業アパレル、スポーツウエアメーカーの学販部門などに積極的に提案する。




