【特集 アジア2】日本との連携模索するアジア/対日繊維貿易の拡大への取り組み

2013年09月27日 (金曜日)

 タイや香港、台湾、インドなどアジアの多くの国の繊維業界が、日本の繊維産業ともっと密な関係になりたいと考え、日本での展示会を開くなどのアクションを起こしている。

 例えばインドは、インド貿易振興局が主催する「インド衣料品展」と「インド家庭用品展」を毎年開催し、今年でインド衣料品展は34回目、家庭用品展は24回目を数える。関係者は「インド製テキスタイル、衣料品に対する日本の関心が高くなっている」と手応えを語る。

 台湾でも近年は、日本との貿易に関心を示す繊維企業が増えている。毎年大阪で開催される「パンテキスタイルフェア」は、今年は11月6、7日に開かれ、今回は参加者が急増、38社を数える。

 タイも今年7月に衣料品、テキスタイルなどの繊維企業約20社が衣料品展示商談会を開いた。この商談会は初めてタイ繊維産業連盟が全面的に支援した。同連盟は来年1月の同様の展示会も全面的に支援する。

 そこには日本を単に市場として見るだけではなく、日本の繊維企業と連携し、今後のアジアの成長をけん引するアセアンを攻略しようという意図もうかがえる。

タイ/タイ繊維産業連盟/日本の技術の導入も/アセアンの司令塔めざす

 タイの繊維企業の組合を統括するタイ繊維産業連盟(ソムサック・シースポーンワーニット会長=タイ織物協会長)が、日本の繊維産業へのアプローチを強めている。

 2014年1月中旬には同連盟がサポートする形で、タイの衣料品、テキスタイル、服飾雑貨などを手掛ける有力企業30~40社が大阪で展示商談会を開催する。

 実は今年の7月にも同連盟が初めて全面サポートする形で、タイから有力繊維関連企業約20社が来日、大阪で「タイ国衣料品展示商談会2013 in OSAKA」を開いた。この大阪展では、タイでどのような商品が作れるのかを見てもらうことと、出展企業による日本市場の調査が目的だったが、「商談としても成果があった」(ソムサック会長)という。

 タイの繊維産業は素材から加工、製品まで一貫で対応できる懐の深さを持つものの、周辺のアセアン諸国と比べて人件費が高いことから、労働集約産業の縫製品生産には向かなくなってきている。

 ソムサック会長は「日本から技術などを学び、より付加価値の高い素材を作り出すことが重要だ。それらの素材を活用して周辺のアセアンの国々で衣料品を生産するコントロールセンターになること」が、タイ繊維産業の進むべき方向の一つと指摘する。

 実際、タイの繊維企業でラオスやミャンマー、カンボジアなどの周辺国に進出して衣料品生産を行う企業も増えているようだ。

 来年1月の展示会について、ソムサック会長は「タイの繊維企業にはイノベーションが必要になっている。日本に来て、日本企業とのビジネスマッチングを一つでも多く成功させたい」と語る。

 日本の繊維企業にとってアセアンの重要性は急速に高まっている。日本の繊維企業との関係強化を望むタイの繊維企業は、アセアンにおける繊維事業展開で有力なパートナー候補になる。

香港/香港貿易発展局/サービスと商品売り込む/「ルームス」などに出展

 アッシュ・ペー・フランスの主催した「ルームス27」が13日まで、東京都渋谷区の国立代々木競技場第一体育館で開かれた。“富士山”をテーマに、約660ブランドが参加。海外からは香港貿易発展局が香港パビリオンを開設、香港企業8社が出展した。

 そのなかの「エリザベス&ジャクリーン」は昨年のデビューながら、今年1月の「香港ファッションウィーク」で、若手ファッションデザイナー賞4部門のうち3部門を独占した実力派だ。デザイナーのジャクリーンさんは「日本は香港よりも新しいものに興味を持ってもらえる。将来はショップを持ち、海外でも作品を発表したい」と夢を追う。

 香港貿易発展局はこうした若手デザイナーの育成とファッション産業の振興に向けて、毎年1月と7月に香港ファッションウィークを開催してきた。また、香港の製品とサービスを売るため、海外の展示会に出展した。今回のルームス出展もその一つで、「東京インターナショナル・ギフト・ショー」にも参加している。

 同局は1966年に香港貿易発展局条例制定に基づき、香港の対外貿易・経済関係促進を目的に香港政府によって設置された特殊法人。

 日本では71年に東京、81年に大阪事務所を設立しており、日本企業との貿易促進や、香港を経由した中国・アジアでのビジネス拡大に取り組んでいる。

台湾/紡拓会/長期的、地道な活動/パンテキに38社参加

 台湾繊維業界団体のトップにある紡拓会(台北市愛国東路)は、(1)市場開拓(2)研究開発(3)産業経済情報収集――の3つの重点方針を持ち、長期的で地道な活動を続けてきた。

 近年はとくに、繊維企業の国際市場開拓を援助するため、繊維品の品質向上につながる活動を強化している。また世界的な繊維素材やファッションの流行を探り、優れた繊維生産技術の発達を促している。

 欧米が主力市場であるが、近年は日本との貿易に関心を示す繊維企業が増えている。毎年大阪で開催される「パンテキスタイルフェア」。今年は11月6、7日に開催される。今回は参加者が急増、38社を数えるなど盛り上がりを見せる。

 2012年の紡拓会の活動実績を振り返る。まず台湾最大の繊維見本市「台北紡織展(TITAS)」を開催した。これは毎年1回、台北市で開かれるもので、16回を数えている。開催期間中の成約金額は2億ドルに達するなど成果を上げている。

 今年も10月15~17日に第17回展が開催される。

 世界の活動では、ドイツの「ハイムテキスタイル」「ISPO」「テクテキスタイル」や米国の「アウトドア・リテイラー・ショー」「マジック」、中国の「インターテキスタイル」、香港の「インターストッフ・アジア・エッセンシャル」など主要展示会をほとんどカバーしている。

 国際繊維連盟(ITMF)や国際アパレル連盟(IAF)、世界スポーツ用品工業連盟(WFSGI)など国際団体に加盟し新しい動きを取り入れることに神経をとがらせている。

 74社の海外活動を援助して、米国、ドイツ、ロシア、中国など1200人のバイヤーと商談させた。12年の各商談会の期間中、合わせて4000万ドルの商機につなげた。

 環境保全に役立つ繊維品の拡大も始めており、欧州、米国、アジアの3つの重点地区での展示会に出展、台湾の環境繊維をアピール。これら展示会に出展した台湾企業24社は期間中300万ドルの成約を達成した。また環境繊維の現状を伝える「台湾環境繊維スペシャル」という本を発行するなど力が入る。

 商社やバイヤーの変化に対応するため、貿易局は、「繊維専門商社育成計画」を推進し、20社の国際貿易能力を向上させる動きを見せる。この活動により5000万ドルの商談機会が生まれた。

 国際市場での台湾ブランドのイメージ向上のために、ニューヨーク、東京、上海、香港など国際的に重要なファッションイベントには積極的に出展し、プレス発表も必ず行うことにしている。これらの動きを集大成するのが毎年1回台北で開催する「台北・イン・スタイル(TIS)」でデザイナーやバイヤー、新聞記者を世界から呼び寄せることにしている。

 経済情報の収集にも熱心で、709本の経済レポートを発表、12編のスペシャルレポートも発行した。研究会は7回開催され、746人の参加を得るなど台湾業界の研究熱心なところも見える。「2011台湾紡織工業統計」のほか「紡織品貿易概況」(月刊)、「紡織月刊」(同)など各種出版活動も活発だ。

インド/在日本印度商業会議所/インド衣料展など支援/日印貿易の促進へ活動

 在日本印度商業会議所(ICCJ)は1937年に設立され、今年で76年目に当たる。ICCJは日本とインド及び他の諸外国地域との貿易を促進し、日本でのインド系企業の利益を守るための機関として発足、現在、120社以上のインド系企業と個人会員が登録する。

 会員企業は様々な業種から成るが、なかでもテキスタイル関連企業が7割を占め、その多くが30~40年の長期にわたって、日本に滞在。商売を続けている。同会議所は各種の商業証書の発行、諸問題の仲裁、またインドコミュニティーのために様々なイベントを開催する。この数年は「日印貿易関係拡大の重要な推進力となるため、メンバーの貿易、経済、投資活動を通して日印両国経済の発展に貢献している」とダヤール・ジェイ・エス名誉会頭は言う。

 日印貿易を推進するため、ビジネスセミナーなど会員企業に対して様々なサービスを提供している。その一つがインド貿易振興局主催によるインド衣料品展とインド家庭用品展。同会議所もサポートする。

 今年は6月24~26日、マイドームおおさかで開催されたが、インド衣料品展は34回目、家庭用品展は24回目を数える。今回は展示面積で昨年の約2倍の3836平方㍍。出展者数も約7割増の110社に拡大した。

 出展者、来場者からも好評だった。ケー・ピー・ラム名誉副会頭は「インド製テキスタイル、衣料品に対する日本の関心が高くなっている」との手応えを示し「来年はマイドームおおさか全館を使用する方向で調整しており、ファッションショーも検討している」と語る。

 日本とインドは包括的経済連携協定(EPA)を2011年に発効した。これも両国間の繊維貿易を促進する。

 インドは中国に次ぐテキスタイル生産国であり、綿花生産も同様だ。また、テキスタイル産業は農業に続く多くの雇用を生み出している。輸出のうちテキスタイルの比率は12%、GDPの4%も占めるなど、産業のなかで重要な位置を占める。

 WTOなどによると、インドの繊維製品輸出金額は、2010年で6億200万ドル(テキスタイル2億5100万ドル、アパレル3億5100万ドル)。これが20年には10億ドル(テキスタイル6億5000万ドル、アパレル3億5000万ドル)になる見通し。とくにテキスタイル輸出では中国のコスト上昇やリスク分散の可能性から世界的にインドの重要性が高まる可能性がある。

 一方、日本企業としてはインド内需にも期待がかかる。中国に次ぐ世界第2の人口を抱え、1人当たりの収入も増加傾向にあるからだ。

 コンサルティング会社によると、2010年、520億ドルのインドのテキスタイルとアパレル産業は20年までに1400億ドルに拡大するとみられている。