東レ/米、韓でM&A/成長分野への投資確実に
2013年10月01日 (火曜日)
東レは9月27日、東京本社(東京都中央区)で会見を開き、M&A案件を発表した。内容は米炭素繊維メーカーのゾルテック社を買収する(同30日付既報)とともに、韓国の連結子会社が、高機能繊維や水処理フィルターなどを製造・販売する現地企業の株式取得に関する優先交渉権を獲得したとするもの。成長分野、海外展開の業容拡大を加速させる。
東レは、ゾルテック社が扱う、比較的安価な「ラージトウ」炭素繊維を取得する。主力の航空機や圧力容器向けに、風力発電機翼や自動車構造体用途など、より汎用性の高い産業分野向けを加え、炭素繊維事業を開拓する。
ゾルテック社のゾルト・ラミー社長は「環境変化のなかで、用途拡大していくために、強固な財務基盤が必要と判断した。炭素繊維事業を共に大きくしていきたい」と意欲を示した。東レの日覺昭廣社長は「レギュラートウ、ラージトウを使い分けて展開する。両方持つことは今後の事業戦略で非常に重要」との考えを示した。
また韓国では、東レの現地連結子会社であるトーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア(TAK)が、ウンジンケミカル社の株式約56・2%の、入札方式による売却について、9月27日に優先交渉権を確定した。2013年中の取得をめどにするほか、交渉の結果も確定次第明らかしていくという。
ウンジンケミカル社は高機能繊維、水処理フィルター、無延伸フィルムなどを製造・販売。ポリエステル短繊維、長繊維も生産する。チップ紡を中心に東レグループ全体のポリエステル長繊維生産能力は、フル操業に近い状況にあり、新設せずに能力増強を図れるほか、衛生材料向け原綿など、東レに無い特殊原綿も展開するため、シナジーを期待する。