不織布の時代/SINCE2013から(7)/日本のおむつ輸出増加
2013年11月20日 (水曜日)
中国市場で日本製紙おむつが好調と言う。かさばるうえ、単価が低く「空気を運ぶようなもの」とされる紙おむつだが「安心・安全」を重視する消費者から、紙おむつとしては高級品でありながら日本からの輸入品が売れている。日系紙おむつメーカーが現地生産するにもかかわらずだ。
これに伴い日本の紙おむつが増産傾向にあり、部材となるポリプロピレン不織布(SB)も国内販売を増やしている。
東レのポリプロピレンSB中核会社であるトーレ・アドバンスド・コリア(TAK)もその1社だ。アジア最大規模の東レも日本には生産拠点がない。このため、日本市場はTAKを中心にカバーする。そのTAKから日本への輸出が急増。同社の竹内均常務理事繊維事業本部担当によると、今年1~6月の対日輸出は前年比30%増となっている。
ただ、円安ウォン高の為替状況にあるため、対日輸出は伸びているものの、収益性は低下。先ごろ、発表された東レの2013年4~9月期決算発表でTAK業績は売上高570億円と前年同期比23・6%増も、営業利益は63億円と1・6%増にとどまった。そして1~6月で見るとSBは減益で、対日の収益低下が要因としている。
日本でのポリプロピレンSB需要増は12年6月に生産子会社、サンレックス工業(三重県津市)に年産1万5000トンの新設備を稼働させた三井化学にも寄与し、フル稼働に近い状態が続く。
旭化成せんいも国内需要の増加に対応し、増産に取り組むが、限界もあるため、不足分はタイ子会社からの供給でカバーする。元々、タイ子会社のアサヒカセイ・スパンボンド〈タイランド〉(AKST)は日本向けを2~3割生産する戦略を敷いていた。これにより通年でも国内販売は数%増を見込む。
海外拠点からの輸入増は数字にも表れている。財務省通関統計によると、今年1~9月のポリプロピレン長繊維不織布輸入量(1平方メートル当たり目付25グラム以下)は前年同期比14%増の4万6129トン。この内、TAKがある韓国は5%増の6840トン、AKSTや三井化学子会社があるタイは12%増の1万3814トンとなっている。
変化する紙おむつ市場だが、ポリプロピレンSB以外の不織布も部材に使用する。それがエアースルータイプ(熱風により不織布化)のサーマルボンド