プリプレグ初出荷/東レ石川工場/米ボーイング787型機用
2013年12月09日 (月曜日)
東レはこのほど、2009年7月に本格稼働を始めた石川工場(石川県能美市)のPAN系炭素繊維「トレカ」を使用したプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状のもの)生産ラインの米国ボーイング社設備認定を取得し、今月5日にボーイング787型機用プリプレグを初出荷した。
石川工場のプリプレグ第1生産ラインは、稼働開始以降、スポーツ・産業用途向けに製品を生産、供給してきたが、ボーイング社の設備認定を取得したことで、今後は航空機向けのプリプレグの生産比率を高める。今回の認定取得で、787型機の月産10機体制に対応した安定供給体制が整うことになる。
東レはトレカのプリプレグを愛媛、石川両工場のほか、米国の子会社東レコンポジット〈アメリカ〉で生産している。石川工場では現在、15年2月の生産開始予定で第2生産ラインの建設を進めている。IT機器の筐体や自動車のボンネットやルーフなどの外板など、高い品質安定性が求められる産業用途向け高付加価値プリプレグの需要増に対応するためだ。また、ボーイング社が787型機の増産を公表したことから、世界最適立地のプリグレグ増産も検討中という。
炭素繊維複合材料は、航空機や自動車などの軽量化による省エネルギーの推進に加え、風力発電機翼やシェールガスなどの貯蔵、輸送用圧力機器に使用されることで新エネルギーの普及に貢献する先端材料として認知されてきた。
東レは中期経営課題「プロジェクトAP―G2013」で、グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクトを推進。今後ともGRプロジェクトの中核事業として、炭素繊維(川上)から、プリプレグに代表される中間基材(川中)、コンポジット(川下)に至る垂直統合型サプライチェーンを強化することにしている。