特集 ジャパン・ヤーン・フェア/注目の企業 話題の企画(1)
2014年02月10日 (月曜日)
旭紡績/革新設備を生かした差別化糸
旭紡績は革新設備を生かした差別化糸を披露する。このほど、インジェクションスラブ装置を搭載した精紡交撚コンパクト紡績装置を新規導入した。
異なる原綿や素材の粗糸を組み合わせることで自由自在なバリエーションの混率変化糸や形状変化糸を生産することが可能だ。同社ではタオルやニットといった用途の開拓を進める。
そのほかにも甘撚り糸シリーズ、オーガニックコットン糸、極甘撚りのコンパクト糸「エンジェル」なども多彩に出展する。
リング精紡機のほか、オープンエンド精紡機、コンパクト精紡機など多彩な紡績設備を保有し、デニム糸やタオル糸でも実績豊富。これだけ方式の異なる紡機を保有する紡績は日本でも数少ない。糸売り専業紡績としての強みを打ち出す。
青山繊維加工/モール糸を備蓄販売
モール糸を主力商品とする青山繊維加工は、自社で試作したモール糸を、専属撚糸業者4社を活用して製造している。これらを掲載した写真カタログを毎年発行。掲載糸は、染めた状態、あるいは生地糸として備蓄し、1㌔単位で販売する。
カタログ掲載糸の中では、ループ状とモール状の花糸が1本の糸の中に混在するポリエステル100%モール糸「E1108」が有名だ。「世界でもほかに例がない」糸だという。製造には特殊な装置が必要で、同社の外注先のなかでも作れるのは1社だけ。花糸の密度が極端に粗く、かつ芯糸が細いファー調ナイロン100%モール糸「1419」も好評だ。花糸密度が極端に粗いと、偏在したり、なくなったりしがちだが、同社の糸にはその欠点がない。
泉工業/反応染料で染まるラメ
泉工業は、反応染料で染めることのできるラメ糸「反応ジョーテックス」を打ち出す。ラメフィルムにレーヨン短繊維を複合することで開発に成功した。1浴染めと2浴染めなど染めの組み合わせで生地表情を変えることができるのが魅力だ。独特の微光沢感も従来のラメ糸になかった表現だ。平糸のほかキュプラとの交撚による羽衣撚り糸も用意する。ラメによるモール糸「ソフトラメモール」も注目だ。独特の柔らかさが特徴で、すでにデザイナーブランドにも採用された。こちらは45色展開だ。
伊藤忠・中部支社/協業先へ特殊糸供給
伊藤忠商事中部支社の糸・生地事業は、尾州産地への糸販売と、同社の資本提携先である中国の山東如意科技集団を活用した生地生産が柱だ。尾州産地へは、定番糸を販売するとともに、協業関係にある約10社へ独自開発の特殊糸も供給している。
ドイツのズットボーレ社の梳毛糸の、日本における総発売元にもなっている。同糸を生地糸として日本に備蓄して販売している。協業先へは、これら糸をトップ染め糸としても備蓄販売する。
今後、豪州産の希少なメリノウールを素材とする糸「メリノ・オプティモ」の市場を、尾州産地の生地メーカー数社と組んで開拓する方針。すでに編み地としての試作が始まっている。織物としても展開する予定だ。
伊高撚糸/40年前からモール糸
伊高撚糸の主力商品はモール糸。40年ほど前、日本の機械メーカーにモール糸製造機を作ってもらい、それを導入して生産を開始した。現在は、「車で10分圏内」の専属に近い8件の撚糸工場を活用して生産している。
当初は、カーテンやいす張り地用として供給していが、現在では衣料はもちろん、タオル、カバン、ヘアバンド、スリッパなど様々な用途へ販売している。ジャパン・ヤーン・フェアへの出展の成果だ。
アクリル、綿、ウール、レーヨン、ポリエステルを素材とするレギュラータイプのモール糸や、特殊形状のモール糸を生地糸として備蓄し、顧客の指定糸に染めて販売している。このような形での販売が売上高の半分を占める。残りは別注生産によるものだ。
王子ファイバー/「OJO+」を訴求
王子ファイバーは天然紙糸繊維「OJO+」を出品する。同糸はエクアドル産のマニラ麻を原料にし、軽く、毛羽のないフィラメント状で、水に強い。通気性、さらっとした触感、保温性、吸放湿性、消臭・抗菌作用も持つ。こうした素材特性は、微細な多孔質繊維構造によるものだ。原料のマニラ麻はオーガニック認証、糸はエコテックス規格100の認証を取得する。今回は「ジーンズ・織物」、「手芸糸」(ハマナカの「フローラルリース」)、「ニット」の3コーナーに分けて訴求する。
オーミケンシ/原糸にも革新加工を
オーミケンシは、これまでテキスタイルで展開していた革新加工シリーズ「プリマ・ヴィスタ」を糸加工による先染め糸でも展開する。セルロースを改質することでソフトな風合いとナチュラルストレッチを実現した「エクセレントストレッチ」、黒の高堅ろう度濃色加工糸「エレガンスブラック」、特殊加工で繊維に芳香成分を固着させる「マイフレグランス」など機能先染め糸を見本帳で提案する。
大津毛織/上質、軽量の差別化紡毛糸
大津毛織は独自の特殊紡績技術による軽量紡毛糸「エアーヤーン」を中心に上質感と軽量性に優れる紡毛糸を提案する。今回展では、エアーヤーンにウールネップを入れた「エアーヤーンネップ」やイージーケアが特徴の「防縮ブランシェ」などを打ち出すほか、糸染めでカジュアル感・落ち感を実現したデニム調紡毛糸なども出展する。中国・上海で紡績することを生かし、中国、日本、第三国それぞれで人民元、日本円、米ドルによる決済とデリバリーができるのも強みだ。
川プロ/広幅用にもカバードヤーンを
カバードヤーンメーカーの川プロは、主力の細幅織編み物に加えて広幅織編み物用途への参入を進める。カバードヤーンの技術を生かした「マイテル」ブランドのストレッチ意匠糸を多数提案する。新商品としてスパンデックスをリネン糸でカバーリングした「リネンマイテル」を披露。リネンのタッチとストレッチ機能を両立した。カバーリングヤーンはハイパワーストレッチも可能なのが特徴。幅広い産地への販路開拓を進める。
東和毛織/英式紡機などで特殊糸
東和毛織は、日本で一般的な仏式精紡機12台3576錘に加え、日本では数社にしかないという英式精紡機3台600錘や、トライスピナー8台388錘を保有。加えて、長繊維を編んで作った糸の中にスライバーを挿入できるファンシーリリー機を2台32錘、粗糸を編んで糸にするソフトリリー機を3台202錘持つ。
これら多彩な設備を活用し、太番手を中心とする織り糸、ニット糸、手芸糸を生産してきた。100種の生地糸を常備しており、35種についはそれぞれ平均10色を備蓄している。
今回展では、微小なパイルで表面が覆われた軽くて暖かい糸「エアリースパン」の第3弾、メリノウール使いを披露する。同糸は、仏式精紡機を改造して開発したもの。