シキボウの原糸事業/“先入観”打ち破る/「敷島糸工房」でクリエーション
2014年02月12日 (水曜日)
シキボウの原糸事業は、同社に対する市場の先入観を打ち破る糸開発と提案を強化している。その拠点となるのが富山工場。「敷島糸工房」としてユーザーのニーズに細かく応える“クリエイトできる工房”としての存在感を市場に認知させることを目指す。
シキボウは元来、シャツ地用途などを得意とした関係から市場では“細番手・ドレッシー”な綿糸メーカーというイメージが強い。ただ、こうしたイメージが販路や用途開拓の妨げになっているとの認識もあり、現在ではこれら先入観を取り払い、ユーザーのニーズに応じた多様な糸を生産できることを市場に認知させることに取り組む。
その拠点となる富山工場は現在、「敷島糸工房」として工場自体をブランド化する取り組みを進めており、アパレルや商社、生地商など多様なユーザーが工場に直接出向いて希望する糸を試紡することができる体制を作った。同工場は現在、精紡機約5万錘の設備を保有し、以前と比較すれば規模は小さくなったが、前紡工程の設備は大きく削減しておらず、精紡機の規模から考えれば極めて充実した能力を持つ。このため小ロット生産への対応力が高まっている。
また、先入観を取り払う商品として、保有する特殊渦流精紡機「ボルテックス」を活用した糸「STS」で従来の綿やレーヨンに加えてウール、シルク、リネンなど多様な天然繊維を使用した混紡糸のラインアップを拡充した。未利用綿(落ち綿)使いでナチュラルスラブ調のカジュアル感を表現した「キャニオン」なども重点提案する。
同時に得意とするドレッシー系の綿糸では強撚糸「エクセリトクール」、連続シルケット加工綿糸「フィシル」などもラインアップする。とくに連続シルケット加工糸は現在、国内で生産・加工しているのは事実上、シキボウだけとなっていることから希少性も高い。
糸の販売先としては国内産地を引き続き重視する。とくに今治産地や播州産地など有力産地に対するアプローチを強めた。
きょう12日から尾州産地で始まる糸総合展「ジャパン・ヤーン・フェア」への出展も「販売先を拡大するチャンス」と位置づける。