世界最大の産業用繊維見本市「テクテキスタイル2001」開幕
2001年04月26日 (木曜日)
(フランクフルト25日、西田貴夫)世界最大の産業用繊維見本市である「テクテキスタイル2001」が24日、ドイツ・フランクフルト国際見本市会場で開幕した。5、6号館の1、2階とも使用した総展示面積は2万平方メートル強に上り、出展数は前回(99年開催)の36カ国・711社を大きく上回り、43カ国から792社に上った。午前9時の開場とともに、多くの来場者を集めており、26日までの3日間で「来場者は前回の1万3000人を上回る」(メッセ・フランクフルト・GEERT・BOTTGER副社長)見通しだ。
出展社の特徴は既存ユーザーとのミーティングに重点を置く点で、とくに、大手企業はその傾向が強い。アコーディスグループ(インダストリアルファイバーズ、スペシャリティファイバーズ、アクリルファーバーズ)などは最大級の展示スペースを構えながら、製品展示はなく、軽食を用意するキッチンとテーブル、いすのみ。会期中はユーザーを集めてホテルでシンポジウムも開いている。
アキレス、カネボウ、クラレ、太陽工業、帝人、東洋紡、東レ、日本カイノールの7社が出展した日系企業も同様で、PBO繊維「ザイロン」のみの出品である東洋紡など「欧州の既存ユーザーに会う場。テクテキスタイルへの出展はミーティングプレイス」(能島鐡之助機能材第2事業部長)と位置付けるところが多い。溶融紡糸可能なPVA「エクセバール」など新素材を出品したクラレでも「ブースを設けるとユーザーが訪れてくれ、ミーティングできる。新たな商談はあれば良い」(産資・リビング事業本部・江嵜為丸開発部長)など基本的には同じスタンスだ。
日系最大のブースを構えた帝人もアコーディスグループから買収したテイジントワロン(蘭)、東邦レーヨン傘下のテナックスファイバーズ(独)などグループでの出展で、パラ系アラミド繊維、PAN系炭素繊維、そして、ジョンズ・マンビル社から買収したポリエステルモノフィラメントも含め高機能繊維メーカーである点をアピールする一方、現地の担当者も多く、欧米の大手企業によく似た展示内容となっていた。
86年来の出品となるカネボウはスパンデックス不織布「エスパンシオーネ」、導電繊維「ベルトロン」などのパネル展示を中心にカネボウ合繊が進める「シグマニッチ戦略」(カネボウ合繊・菊池香一取締役)を改めて強調する展示内容。今回が4回目となるテントメーカーの太陽工業はパネル展示で「テントは原材料メーカーとわれわれのような加工業、そしてユーザーの三位一体での商品開発が必要。この見本市には原材料メーカーの出展や来場がある。やはり人と人とのコミュニケーションによって貴重な情報は得られる」として、新たな商談には大きく期待していない様子だった。
一方、昨年に続き2度目の出展となる東レはPBT繊維100%によるシートベルト、扁平ナイロン66によるエアバッグ布など新素材を出品し「情報交換だけでなく、新規ユーザーの開拓にもつなげたい」と商いに意欲を見せた。同じく2度目の出展となるアキレスではテント用の塩ビシートを出品したが「繊維ではないが、ユーザーであるテントメーカーが多く来場する。前回も十数件は実商いにつながっており、今回も出展を決めた」(フィルム販売部本社機能素材グループ・湯本洋一海外マーケティングチーム長)など各社ごとに出展に対する意識の差が微妙にあった。