「CFF・大阪」開幕/中国企業も「チャイナ・プラスワン」
2014年04月16日 (水曜日)
「CFF・大阪2014」(日中経済貿易センター主催)が15日、大阪市中央区のマイドームおおさかで開幕した。人件費の上昇や人手不足など中国でのモノ作りが難しくなるなか、注目を集める「チャイナ・プラスワン」だが、日本企業だけの話ではなく、中国企業の進出が目立ち始めている。
<生産拠点を使い分け>
CFFの出展企業のなかでも、新たに東南アジアに生産拠点を設ける動きが加速している。大連大連沛澤貿易(弘源服装)は、ミャンマーに6月、自社工場を新設する。8ラインでJUKIからミシン600台を導入し、800~900人体制で日本向けブラウスやコート、ダウンジャケットを扱う。生地は中国から持ち込む。
婦人服やカジュアルウエアを手掛ける南通市中和紡織服装は6~7月にカンボジアに縫製工場を設け、日本向けにパンツやシャツを供給する。300人体制でスタートし、3年後に1000人規模まで拡大する計画だ。威海紡織集団進出口も、すでに進出しているバングラデシュに続き、5月にカンボジアで買収した現地工場を活用して1000人規模で稼働し、対日商材を供給する。
東南アジアに進出する理由として人件費増や人材確保を挙げる企業が多い。「カンボジアの人件費は中国に比べると3分の1程度」(寧波獅丹努集団)などコスト面での利点が大きく、日アセアン包括的経済連携(AJCEP)で対日関税が原則フリーになるメリットを挙げる企業も目立った。AJCEPの関税フリーは、加盟国で2工程の生産が必要なため、アセアン地域で生地を調達するほか、自社で生地の生産拠点を新たに設ける動きも見られる。対日が主力の企業では「日本の顧客からの価格要求が厳しく」、日系商社などからの要望も受け、東南アジアへ進出する出展者もあった。
東南アジアでの生産は同時に、コスト面が安くなってもリードタイムが長くなるほか、縫製レベルも中国に比べて劣るなどデメリットもある。そのため、東南アジアの生産拠点では「納期が長く、ロット数が大きいものを扱う」(南通市中和紡織服装)、「低価格で縫製が容易というほか、納期に余裕あるものに絞る」(威海紡織集団進出口)など、顧客ニーズに応じて、高級品向け、小ロットを中心とした中国生産拠点との使い分けを進める傾向にある。
東南アジアの生産拠点では中国の生産拠点などから技術者を派遣して縫製のレベルアップも併せて図っている。レベルアップに応じて中国企業の東南アジアへの生産シフトはますます進みそうだ。