スクールユニフォーム特集/国内生産強化で安定供給
2014年05月30日 (金曜日)
相次ぎ鳥取県へ進出/生産増強でシェア高める
少子化で生徒数が減っていく一方で、これまで生産を支えていた縫製工場は、高齢化や過疎化による人手不足で廃業するケースが増えつつあり、学生服アパレルでは改めて生産拠点の確保が問題になりつつある。
トンボは、鳥取県倉吉市に新工場「トンボ倉吉工房」を立ち上げ、7月から稼働する。入学シーズンで頻発する追加発注に対応するためにも、新工場の設立に踏み切った。同社としては1億2000万円を投資するほか、倉吉市が1億円投入し、西倉吉工業団地に土地と、トンボの希望に沿った工場建屋を整備し、リースの形で提供する。ブレザーの生産を中心に、14年に年間2万点、15年に4万点、16年に6万点の生産量を計画する。
菅公学生服も約5億円投資し、同社としては19カ所目の工場を鳥取県大山町に立ち上げる。工場は昨年8月に撤退した旧大山電機工場の建屋を利用。今年8月からの稼働を予定し、詰め襟を中心に生産する。
スクールシャツなどを生産する山下産業(岡山市)も2012年に鳥取市にフロンティアファクトリーを立ち上げ、シャツを中心としたニット製品の生産を強化してきた。昨年10月には西大寺工場(岡山市)をサイ(同)として分社化し、グループを山下産業と5つの基幹工場(サイ、ネクサス、フロンティアファクトリー、三日月、ガルボ)に再編。「できるものは何でも受注し、“工”にしっかり徹する」(山下和也社長)と、学生服アパレルを中心とした取引先との信頼感を深める。
鳥取県に投資が集中するのは、いずれの企業も本拠地の岡山に近いことに加え、鳥取県の積極的な誘致活動があったためだ。アパレルにとっても行政からの助成金だけでなく、人材集めが難しいだけに「雇用への積極的な支援が大きな決め手」(菅公学生服の尾﨑茂社長)となった。鳥取県では「鳥取道など高速道路が整備され、アクセスが良くなり企業からの注目が高まっている」(平井伸治知事)ことから、繊維以外の分野でも工場を新設する動きが活発化している。
値上げへの攻防続く/タイミング見計らう
電気やガソリン、食品など身近なものの値段が上るなか、学生服にかかわる素材や加工料金も例外ではない。綿やウール、ポリエステルといった原料だけでなく、織物やニットといったテキスタイル、染色加工、ボタンやファスナーなどの副資材など、ほとんどすべての分野で価格が上昇傾向にある。
学生服向け素材を供給するメーカーのなかでも最大手のニッケは、今入学商戦で売上高、販売量とも前年並みを確保したが、コスト増に伴い採算が悪化、利益面では苦戦している。現在原毛価格が高止まりし、エネルギーコストや薬剤価格の上昇に伴う加工費の増加が加わって、採算はさらに悪化すると見ている。「増税後の市況を考慮する必要もあるが、このままの為替水準と原毛高が続けば、(生地の)価格改定を検討せざるを得なくなる」(金田至保ユニフォーム事業部長)との見方を示す。
素材メーカー各社は昨年から学生服アパレルに対し、値上げを打診している。「昨年の値上げ発表後は一貫して交渉を続けている。委託加工の料金増もあり、不退転で臨む」(東レ)と、素材メーカー各社は価格転嫁の必要性をにじませる。
ただ、学生服アパレルでは「素材メーカーの言い分は理解するけれど……」(アパレル関係者)との声はあるものの、要請に応えられない姿勢を見せている。
入学商戦でモデルチェンジ校を獲得したとしても、価格が抑えられる傾向が強いことに加え、学校に制服採用が決まれば最低3年間は値上げできない状況にあるためだ。すでに来入学戦商戦に向けた生産が始まるなか、素材メーカーはどのタイミングで生地値を上げるべきなのか、タイミングを見極める段階に入っている。
高校のプロジェクト応援/菅公学生服「津山天神人形」復活へ
菅公学生服は今年3月、岡山県立津山商業高校の「津山天神人形復活プロジェクト」を応援するため、同校と協定を結んだ。
同プロジェクトは津山商業高校の商業クラブが、美作地方での古くからの伝統的工芸品「津山天神人形」が4年前から製造、販売がされていないことに着目し、復活しようと昨年から開始していた。
菅公学生服では、「カンコー学生服」の由来である菅原道真公ゆかりの事業というだけではなく、地元の高校生が自らの手でその文化を復活させて地域振興に大いに寄与していこうとする姿勢に共感し、応援を決めた。
今後5年間、人形の製造や販売にかかわる活動を支援するほか、4月には名古屋の個人が収集していた津山の伝統工芸品“泥天神”を譲り受け、同校に寄贈。現存する人形のなかでは最大級のもので、学校でしばらく展示されたあと、地元の津山郷土博物館に移送する。菅公学生服の尾﨑茂社長は「地域のために貢献していこうとする人材は、将来的に地域にとっての“宝”になるはずで、できる限り支援をしていきたい」と述べた。




