特集「ITMAアジア+CITME2014」プレビュー/実践的見本市の存在感 より大きく/16日に上海で開幕
2014年06月06日 (金曜日)
世界最大級の国際繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME2014」が16日から20日まで中国・上海の上海新国際博覧センターで開催される。世界最大の繊維機械マーケットである中国で開催される国際見本市として、その実践的性格による存在感はますます大きくなった。そこで今回の特集ではITMAアジア+CITME2014をプレビューし、その見どころを有力出展企業とともに紹介する。
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2年に1度のペースで開催されるITMAアジア。今回も世界27カ国・地域から繊維機械メーカー・関連企業1351社が13ホール、合計15万2200平方㍍の規模で最新の繊維機械を提案する。
繊維機械の最大市場である中国での開催ということもあり、ITMAアジアは実践的な展示会となるだろう。現在、中国など新興国でも人件費の上昇やエネルギーコスト増大などを背景に生産工程の高速化、自動化、省エネルギーといったニーズが急速に高まっている。見本市では、こうしたニーズを具体的に満たす機械が注目されそうだ。
今回のITMAアジア+CITMEのもう一つの意味が、15年にイタリア・ミラノで開催される国際繊維機械見本市「ITMA2015」の前哨戦という側面だ。4年に1度開催されるITMAは、文字通り“繊維機械のオリンピック”であり、各メーカーとも最新の技術を披露する場として圧倒的な存在感を持つ。今回のITMAアジア+CITMEでは、ITMAに向けた開発の一端を垣間見ることができるかもしれない。
主催者の言葉
<中国紡織機器材工業協会(CTMA)会長・王樹田氏>
中国の巨大マーケットは世界中の繊維機械業界にとって魅力的です。繊維機械産業の急速な技術進歩によって中国市場もコスト競争力のある、より効率的な機械を求めています。こうしたなか、ITMAアジア+CITMEは中国と世界の繊維・繊維機械業界にとって最も効果的な取引・調達の場になると確信しています。
<欧州繊維機械製造者協会(CEMATEX)会長・シャルル・ボデュアン氏>
ITMA+CITMEは繊維・繊維機械業界から高い評価を得ているが、それは中国で参加企業の製品やサービスについて高い信頼の場を提供してきたからです。アジアの繊維機械に対する需要見通しは明るく、衣類の国内需要も着実に成長していることから、今回のITMAアジア+CITME2014も成功を確信しています。
有識者に聞く
<金沢大学理工研究域機械工学系教授・喜成年泰氏/「機械」「電子」「情報」三位一体の時代に>
――繊維機械の研究者として「ITMAアジア」をどのような展示会ととらえていますか。
欧州で開催される「ITMA」が最新の技術や機械を披露する文字通り“繊維機械のオリンピック”であり、かつては大阪で開催されていた「OTEMAS」が“東のITMA”だったのに対し、ITMAアジアは“実際にメーカーが売りたい機械を紹介する展示会”と言えるでしょう。やはり繊維機械の最大市場である中国で開催されていることもあり、良い意味で実践的な展示会だと思います。恐らく今回のITMAアジアでは、2011年にスペイン・バルセロナで開催された「ITMA2011」で登場した機械が、さらに作り込まれて実用化された機械として登場するのではないでしょうか。
――技術的な見どころは。
現在、繊維機械のユーザーニーズとして大きいのは、省人化・省エネルギー化です。背景には世界的なエネルギー不足や労働力不足があります。こうしたニーズから高速化、自動化という具体的なニーズが生まれるわけですが、問題を解決する方法としてモーターを活用した技術、例えばダイレクトドライブ方式の発展といったことが全体的な傾向として強まってきました。モーターによる独立駆動部分を増やすことは、そのまま機械の価格上昇というデメリットつながりますが、省人化・省エネによるメリットが、それを上回るケースがあります。もちろん、どこまで独立駆動にするのが効率的かという問題は、恐らく何らかの最適解がいずれ見付かるでしょう。
こうした技術の発展の背景には、モーター自体の高機能化・高耐久化という要素があります。また、モーターを制御する電装パーツ、そして情報処理技術の発達という要因も見逃せません。繊維機械の開発が、機械工学だけでなく電子工学、そして情報工学の三位一体によってなされるという傾向がここ30年間ほどの流れであり、最近10年間は、それが一段と加速しています。
もう一つ注目したいのは、材料。機械に使用される鋼材などです。機械の耐久性を最終的に担保するのは材料です。メカトロニクスはキャッチアップが容易で、中国のメーカーもかなりのレベルにありますが、材料に関しては、まだまだ日本に優位性がありますから、そのあたりの動向も気になるところです。また、前回のITMAには、スライバ―を紡績しながらニットとして編み上げるような機械が登場しました。こうした工程の革新によって新しい製品を生み出すような機械や技術が登場すれば面白いでしょう。
――一方、ITMAアジアでは、いわゆる“コピー機問題”が長らく議論されています。
主催者が、もう少し出展企業を選別する必要があります。中国も優良な企業はきちっとしています。最近では3Dプリンターの登場でますます簡単に精巧なコピー機を作ることができる時代になっていますから、ITMAアジアも出展企業数ではなく、出展企業を厳選して展示会としての質を追求する時代に入っていくべきでしょう。それが中国の発展にもつながるはずです。
有識者に聞く
<伊藤忠システック社長・園田博之氏/淘汰の時代を生き残る企業は>
今回の「ITMAアジア+CITME2014」の見どころと最近の繊維機械の動向を技術的側面と市場的側面から有識者に聞いた。
――2014年の世界の繊維機械市況をどのように分析していますか。
世界的に見れば、それほど悪くないでしょう。とくに大型の設備投資プロジェクトが中国、ベトナム、インドネシア、インド、トルコといった国々で進められています。これら大型プロジェクトの多くは大手SPAの動きに関連したものです。大手SPAからの受注を獲得するために日本製や欧州製の高付加価値な機械のニーズが高まっていると言えるでしょう。ただ、中国を中心に供給過剰の問題があります。とくに定番品を中心に生産するメーカーは“淘汰の時代”に入ってきました。中国で生き残るには、資金力だけでなく、事業運営上の様々なインセンティブを得ることのできる“政治力”が必要になっています。中国の繊維メーカーも生き残りに向けて国内の高級ゾーンへの参入を拡大する必要がありますから、そのための設備投資も出てくるでしょう。なによりも中国は消費地としても巨大ですから、こうした大きな流れは今後も変わらないでしょう。
――“チャイナ・プラスワン”の動きも加速しています。
縫製がバングラデシュやミャンマーといった国にシフトしていますから、その周辺国で紡織機械の設備投資が起こるケースが増えてきました。インドネシアは、ジャカルタ近郊は人件費上昇で繊維産業の採算が合わなくなっていますから、東部ジャワ地区への設備移転が進むでしょう。これは衣料分野だけでなく資材や不織布などでも同様です。パキスタンは従来、紡績が中心でしたが、最近では織布関連の設備投資が活発になってきました。
――今回の「ITMAアジア」の見どころは何でしょうか。
来年、ミラノで「ITMA2015」がありますから、今回の「ITMAアジア」では恐らく新しい機械や技術は出てこないでしょう。それよりも中国が淘汰の時代を迎えたなかで、生き残る企業がどこなのか気になるところです。生き残る中国メーカーの機械が、どのような品質で、どのような性能を持っているのか注目しています。実際に中国の有力メーカーは欧州メーカーを買収するなどしていますから、技術的に飛躍的進歩を果している可能性があります。かつて台湾メーカーがそうでした。恐らく中国メーカーも同じように良くなっていくのでしょう。今回、伊藤忠システックでは「ITMAアジア」視察ツアーも企画していますから、そういった中国メーカーの動向にも注目したいと考えています。
繊維機械研究会が活動/日本繊維機械学会
日本繊維機械学会は、昨年8月に繊維機械研究会を発足させた。日本が今後も世界トップレベルの技術開発を維持するために研究者とメーカーの技術者が情報交換することが目的。
研究会の委員長は金沢大学の喜成年泰教授が務めている。また、喜成教授は今年5月から日本繊維機械学会の会長にも就任した。
来年はミラノで/ITMA2015
2015年11月12日から19日までイタリア・ミラノで「ITMA2015」が開催される。4年に一度のペースで開催される国際繊維機械見本市であるITMAは、まさに“繊維機械のオリンピック”。今回のITMAアジア+CITMEは、その前哨戦とも言える。
ITMA2015のメーンテーマは“マスター・ザ・アーツ・オブ・サスティナブル・イノベーション”。環境や持続可能性に焦点を当てた次世代の繊維機械・繊維産業のあり方を見据えた展示会を目指す。
主催の欧州繊維機械製造者協会(CEMATEX)は「テキスタイルとガーメントのサプライチェーンで、よりエコフレンドリーなソリューションとアプリケーションを訴求するために各企業の積極的な参加を希望する」と話す。
前回展でも人気が高かった各種セミナーなども充実させる。世界の有力繊維関連研究機関・大学などの出展も積極的に働きかけた。繊維に関する最新のテクノロジー情報もITMAを通じて発信することを目指す。




