ITMAアジア+CITMEレビュー<前>/ニーズ応え実商売重視

2014年06月25日 (水曜日)

 繊維機械の見本市「ITMAアジア+CITME2014」が16~20日、上海新国際博覧センターで開かれた。来年の「ITMAミラノ2015」を控え、新開発機や先端技術を盛り込んだプロトタイプ機などの発表は今回展では少なく、最新鋭の既存機種やグレードアップ版の展示が多かった。    (上海支局)

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 「品質、生産性が確認された実用機で、地に足の着いた商談をした」(豊田自動織機)と言うように、新技術の発表の場というより、あくまでも実ビジネスにつながる取り組みが前面に出た展示会だった。

 村田機械は渦流精紡機「ボルテックス」の第3世代機「ボルテックスIII870」を実演。2011年のITMAバルセロナでデビューした機種だが、今回はメーンのレーヨンだけでなく、日替わりでポリエステルなどの素材も実演。さらに、最新のボルテックスサンプルをそろえ、その完成度と市場の広がりも訴求した。

 また、ここ数年クローズアップされている省エネも今回展での大きなポイントと言える。津田駒工業の今回展のテーマは「スマートエコロジー環境と生産の調和」。最新のエアジェット織機「ZAX9200マスター」は高速性を高めると同時に、省電力、空気消費量の軽減を実現した機種だ。

 繊維生産の主力である中国では人件費の高騰をはじめとするコストアップが顕在化している。省電力や省人化はますます機械選定の重要なポイントとなっている。今回、注目されたのが藤堂製作所のオートドローイングマシン 「織鶴」だ。人件費の高騰や若い人材の繊維離れ、さらには生産品種の多様化などを背景に多くの商談が進んだ。

 全体的に新機種の発表が少ないなか、島精機製作所はコンピュータ横編み機や「ホールガーメント」横編み機など5つの新機種を披露した。12年の前回展でも人件費の上昇など将来を見越した新たなモノ作りを提案していたが「現実が追いついてきた」ことで、同社の新機種も注目を浴びた。