クラレ PEI繊維/航空機など輸送に重点/不織布メーカーと連携
2014年07月23日 (水曜日)
クラレはポリエーテルイミド(PEI)繊維で、不織布メーカーと連携した航空機用内装材など、輸送機器分野の開拓を強化する。「他素材と組み合わせ、互いのデメリットを打ち消し合う開発を行う」(繊維資材事業部の荒牧潤市場開発チームリーダー)ことで、ニーズに合致したモノ作りを進め、本格採用を目指すという。
PEI繊維はサウジアラビアのサビックが製造販売する非晶性の熱可塑性エンジニアリング樹脂を繊維化したもの。耐熱性(ガラス転移温度215~220℃)、難燃性(LOI値31%)、低発煙性、低吸水性、熱可塑性のほか、易染色性、細繊度化などの特徴を持つ。
昨年5月に年産500トンの中量産設備を倉敷工場に導入した。開発が先行するのは航空機用内装材。PEI繊維が有する低発煙性や熱可塑性の特徴を生かせる用途と位置づける。2014年からPEI繊維と他繊維を複合したニードルパンチ不織布を熱成型したものが、小型機を中心に販売が始まっており、来年以降の大型機への採用を狙う。そのため、不織布製造子会社のクラレクラフレックス(大阪市北区)や国内外の不織布メーカーと連携して開発しており、航空機用内装材だけでなく自動車、船舶、鉄道用なども開拓する。
PEI繊維は当初、耐熱性や難燃性を生かした防護服もターゲットにしていたが、メタ系アラミド繊維との競合が激しく、FRP(繊維補強プラスチック)も研究開発の域にあることから、当面は不織布などで航空機を中心とする輸送機器分野の開拓に重点を置く。また、PEI繊維は昨年7月に専用のホームページ(peifiber.kuraray.com)を立ち上げるなど情報発信にも力を入れている。
市場開発グループではPEI繊維に加え、耐熱ポリアミド樹脂「ジェネスタ」による繊維でも、輸送関連分野の開発を同時に進める。